日本の水生植物 水生植物図譜
キク科(1) Compositae
(APGV:キク科 Compositae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGV分類 併記
genus search
アキノキリンソウ属 アザミ属 オグルマ属 キオン属 キツネアザミ属 シオン属 センダングサ属 タカサゴソウ属
アキノキリンソウ属 Solidago
標準和名 アキノキリンソウ 学名 Solidago virga-aurea var. asiatica 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 日本全土に分布するキク科多年草。草丈は30〜80cm、根生葉が付くが花期には枯れる。茎葉は7〜9cmの卵形〜卵状楕円形。その名の通り秋、8月下旬〜11月にかけて黄色の頭花を多数開花させる。

 黄色い花が多数泡立つように咲くことから別名「アワダチソウ」。似た雰囲気で背が高い帰化外来種がセイタカアワダチソウである。セイタカアワダチソウは湿地には進出しないが、右画像、下画像のクレジットの通り本種は適潤地・過潤地に進出し、湿地植物的傾向も持っているため本コンテンツに収録した。埼玉県のサクラソウ自生地、田島ヶ原でも株数が多く見られる。秋の湿地では一際目立つ植物である。

(P)2015年10月 千葉県(成東・東金食虫植物群落)

2015年10月 千葉県(成東・東金食虫植物群落)

同左
アザミ属 Cirsium
標準和名 オゼヌマアザミ 学名 Cirsium homolepis Nakai 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU)

 尾瀬及び周辺地域の一部に自生する湿地性のアザミ。日本固有種。草丈は50cmから1m前後、分岐は少ない。花期は7〜9月で、この時期には根生葉は枯れて消失する。葉は基部が耳状に茎を抱き、楕円形から広楕円形、羽状深裂し裂片は7〜9対である。花は紅紫色、上向きで基部は細い総苞片で覆われ、全体が釣鐘形になる。

 本種をタチアザミ(Cirsium inundatum Makino)の亜種とする立場もあり、その場合の学名はCirsium inundatum ssp.homolepisとなる。タチアザミの分布域は北海道から本州の主に日本海側で、湿地にややまれに見られるが尾瀬では自生が確認されていない。
 オゼヌマアザミを展示している筑波実験植物園ではやや乾いた土壌で育成しているが、尾瀬でも沼地湿地のみならず尾瀬ヶ原のやや乾いた土地にも自生が見られる。

(P)2010年7月 茨城県(筑波実験植物園)

2010年7月 茨城県(筑波実験植物園)基部の葉
標準和名 キセルアザミ 学名 Cirsium sieboldii Miq. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 自然度の高い湿地や水田脇で見られるアザミ属植物。花は開花時に横向きに生じ、この状態をキセルになぞられて和名が付与された。花が咲き終わると上を向く性質を持っている。花期にも深裂した根生葉が残存するが、茎に付く葉は少ない。別名はマアザミ。湿原の流水沿いや山間渓流沿いなどに生育することからアザミの仲間の中でも親水性が高い種と推測される。

 関東地方では残存が少なく、平地の湿地ではほとんど見られない。環境省のカテゴリーには入っていないが都道府県RDBにはよく記載される種である。総苞片が整然と頭花を覆い、美しい花である。一株に多数の花を付けることは少なく、通常は1輪〜2輪程度。どちらかというと西日本型の色合いが濃く(東日本にもないわけではない)西日本では当地のミズバショウなどの生態的地位にあるようだ。

(P)2015年8月 東京都

2015年8月 東京都 深裂した根生葉

同左 蕾

2015年8月 東京都 花
標準和名 シロバナタカアザミ 学名 Cirsium pendulum Fisch. var. albiflorum Makino. 生活型 越年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 タカアザミの変種。利根川水系ではタカアザミが一般的であるが、渡良瀬遊水地のものはほとんどシロバナタカアザミである。(とほとんど、と言うよりも渡良瀬遊水地でタカアザミを見たことがない)画像も渡良瀬遊水地で撮影したものである。
 タカアザミの白花種、と単純に考えていたが基準種であるタカアザミと完全に開花期を分けていたり微妙に差異が見られると言う。またタカアザミはロゼットの時期に葉の付け根付近に赤色の色素が見られるが、シロバナタカアザミには一切着色がなく開花期以外にも同定が可能となっている。こうした部分があって品種ではなく変種とされている。

 自生はアシ・オギ帯の中で、背丈の高い植物に囲まれても同等の草丈があるので日照を確保できる。このような湿地に特化した植物であると言えるだろう。

(P)2010年7月 栃木県(渡良瀬遊水地)

2010年7月 茨城県
標準和名 タカアザミ 学名 Cirsium pendulum Fisch. 生活型 越年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 河川敷などに自生する巨大なアザミ。背丈は約2m近くになり、湿地で一際目立つ存在である。これほど大きくなる理由はアシやオギなど背丈のある他種植物との日照獲得競争であると考えられる。他種が芽を出す前に成長する越年草であることも同様の戦略であろう。
 巨大な草丈に比例して茎葉も長さが25cmほどになる。開花時には成長期のロゼットは枯れて消失する。頭花は画像の通りキセルアザミのように下向きに開花する特徴を持っている。

 分布は中部地方、長野県以北とされ北方型の植物で史前帰化種とする見解もある。霞ケ浦・利根川水系に於いては利根川、鬼怒川、小貝川等の河川敷に多い。また、中流渡良瀬遊水地では本種の白花種であるシロバナタカアザミが多く見られる。

(P)2010年6月 茨城県

2010年6月 茨城県
オグルマ属 Inula
標準和名 オグルマ 学名 Inula britannica L. subsp.japonica (Thunb.) Kitam. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 畦や湿地に自生するキク科の湿地植物。野生菊のなかでも大きな美しい花を付ける。和名の「オグルマ」は小車で、舌状花が車(というよりスポーク、か)状に並ぶことによる。観賞価値が高い。
 よく似た同属植物にカセンソウというものがあり、見分け方はカセンソウは葉がやや細長く、触感がかさかさして硬質、葉裏の葉脈が明確、と多くの図鑑にあるが、こんなレベルは感覚の範疇であり、変異をどこまで許容するかという点もあり難しい。カセンソウに付いては次項を参照。

 オグルマもカセンソウも種子はタンポポのタイプで風によって周囲に広がり大きな群落を形成することもある。花はセイヨウタンポポにも似るが根生葉の他に茎を持ち、背も高いので紛れることはないだろう。

(P)2009年7月 東京都

2015年6月 茨城県

同左
標準和名 カセンソウ 学名 Inula salicina var. asiatica 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 一般に、オグルマよりやや乾いた地形に自生するとされるが、水田の畦や休耕田に見られオグルマとの生態的な距離はごく少ないように感じられる。形態的には本種は葉が細長く乾燥して硬く、葉の裏面の葉脈がはっきり浮き出ているのに対し、オグルマは葉幅がやや広く軟質、裏面の葉脈は浮き出ない。また本種は痩果に毛がある。花は非常に近似し花のみでの同定は難しい。
 草丈50〜80cm長、茎は直立して硬質、上部でやや分岐する。葉は互生、葉柄が無く微鋸歯がある。表面にも葉脈が目立つ。花期は7〜9月、花は直径3〜4cmほど。

 和名由来は不明だが漢字表記は「歌仙草」、歌仙とは和歌の達人という程の意味だろうか。

(P)2013年9月 茨城県

2013年9月 茨城県 花

同左 総苞片は4列

2013年9月 茨城県 葉裏の葉脈が隆起する

同左 茎に繊毛が密生する
標準和名 ホソバオグルマ 学名 Inula linariifolia 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU)

 オグルマ同様に湿地性が強く、ごく稀に休耕田や河川敷などで見つかる。形状はオグルマに似ているが葉幅1cm以下、花も直径2p前後(オグルマは3〜4cm径)と小さい。葉は互生、幅6〜10mm、開花後も発生期のロゼットが残る。草丈20〜60cm長、花期は7〜9月。
 環境省レッドデータ(2012)では絶滅危惧U類(VU)とされ、栃木県から宮崎県まで8県での自生が確認されている。オグルマに比べて希少。画像は植物園での展示。

 関東近辺では渡良瀬遊水地のオギ帯、荒川流域の一部などで見られる。特に渡良瀬遊水地のものは「子供広場」というアクセスのよいエリアの一角に大きな群落となっている。

(P)2013年8月 茨城県(筑波実験植物園)

2013年8月 茨城県(筑波実験植物園)

同左

2015年6月 茨城県

同左

2015年8月 栃木県(渡良瀬遊水地)

同左

2015年8月 栃木県(渡良瀬遊水地)
標準和名 ミズギク 学名 Inula ciliaris (Miq.) Maxim. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地に自生するオグルマ属植物。6月頃から黄色い花を咲かせる。近畿以西の山岳地帯の湿原に自生すると言われているが、尾瀬にも自生がある。(*)草体はロゼット状で根生葉を広げる。花茎にも葉を付け、基部が茎を抱く。花茎は高さ30〜50cm、茎頂に1花。全体的に毛が多く特徴的。
 尚、花茎の葉の基部が茎を抱く「タイプ」はオクミズギクと命名されているらしい(細井幸兵衛氏)が、自宅育成株を含め目にした株は例外なくこの特徴を備えており、詳細は不明。

(*)尾瀬や東日本のミズギクはオゼミズキク(var. glandulosa)とされ、花茎上部の葉裏の腺点が相違点となっている。自宅育成株にもこの特徴が見られるが、園芸店で山野草として購入したもので出自は不明。

(P)2013年6月 茨城県(自宅育成)
2013年6月 茨城県(自宅育成) ロゼット 同左 茎を抱く花茎の葉
同上 蕾 同左 花
キオン属 Senecio
標準和名 サワオグルマ 学名 Senecio pierotii Miq. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 似たような名前のオグルマ属他種と異なり花期が早く、4〜5月頃(関東地方基準)開花する。近似する他種は概ね夏〜秋の開花である。
 湿地や休耕田などに生育し、草丈50〜80センチ、黄花を多数付ける。根茎が横走して発芽するために群生となる。発芽期は根生葉を出すが、花期には茎を出す。茎下部に葉柄のある葉、上部には茎を抱く葉を付ける。葉は肉厚で毛がある。花後にはタンポポのような冠毛を付けた痩果が形成され(下左画像参照)、風に乗って分布を広げる。

 本種は「山間の湿地や休耕田」が主な自生地とされるが、特に冷涼な気候を好むということもなく、温帯〜亜熱帯に広く分布する。

(P)2014年5月 茨城県

2014年5月 茨城県 冠毛を付けた痩果

同左 茎上部の葉の様子

2014年5月 茎株の葉、ロゼットも見える

同左 花
標準和名 サワギク 学名 Senecio nikoensis Miq. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 結実後、冠毛が集まりみすぼらしく見えることから別名ボロギクとも呼ばれる。日本全国、林床に自生するとされるキク科の多年草。林床でも河川際に多く、「サワ」の名の通り湿地植物的な性格も持っていることが推測される。画像は奥日光湯川が戦場ヶ原から中禅寺湖近くの林に入った場所、まさに林床であるが水流の影響を受ける地点のものである。
 草丈は60cm〜1m前後、葉は羽状に深裂し、下部に付く葉に毛が多い。花期は6〜8月。関東地方では低地、里山では見ることがなく、山岳部の渓流沿いに多い。
 Web上の記事やブログではナルトサワギク(Senecio madagascariensis、一年生または多年草、マダガスカル原産、特定外来生物) と混同され、サワギクを帰化植物としている場合もあるが、ナルトサワギクは花がより大型の帰化植物である。

(P)2011年7月 栃木県
キツネアザミ属 Hemisteptia
標準和名 キツネアザミ 学名 Hemisteptia lyrata (Bunge) Fischer et C. A. Meyer 生活型 越年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2017:記載なし

 水田の畦や休耕田、湿地に生える越年草。大型で草丈1.5m長に及ぶ。上部でよく分枝して花数が多く、湿地では非常に目立つ存在である。花は直径2.5cmと大きく上向きに咲く。秋に発芽し、冬をロゼットで過ごして4〜6月に開花する越年草である。

 和名由来は、花はアザミに似るが、アザミ属ではなく植物全体には刺がない、つまり「アザミのように見せる、騙す」=「キツネのように騙す」から。随分回りくどい和名だ。キツネアザミ属の一属一種の植物。乾燥耐性もあり畑地や道端で見かけることもある。

(P)2018年4月 栃木県

2018年4月 栃木県

同左

2018年4月 栃木県(渡良瀬遊水地)
シオン属 Aster
標準和名 カントウヨメナ 学名 Aster yomena (Kitam.) Honda var. dentatus (Kitam.) Hara 生活型 多年草 自生環境 水田
環境省レッドリスト2015:記載なし

 畦や用水路際など水田地帯に多く自生する湿地性のアスター。雑草とは言えキク科の美しい花を咲かせる。この仲間は近似種が多く、染色体を比較しないと完全な同定は困難であるらしい。ヨメナが中部以西の自生ということでカントウヨメナと同定したが、他種の可能性がある点をご了承いただきたい。

 ヨメナすなわち嫁菜だが近隣では食用には供しない。関西では新芽を「うはぎ」「おはぎ」などと呼び、おひたしやゴマ和えなどで食用にするとの事。春の七草「すずしろ」は実はこの草ではないか、との説もある。すずしろは大根の葉とされるが、大根よりも野草の趣が強いので頷ける説であると思う。そもそも大根の葉は栄養価が高く「草」ではなく立派な野菜である。野菊としては最も美しい部類の植物であり、花期も長いので自宅で鑑賞するのにお勧めの草。

(P)2006年9月 茨城県 耕作田畦
2011年10月 茨城県 小貝川河川敷 同左
標準和名 サワシロギク 学名 Aster rugulosus Maxim. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 鉱物質など貧栄養、酸性湿地に産するアスター。本種が見られる湿地には同様の環境を好むミミカキグサやモウセンゴケも見られることが多い。花はややばらに付き直径が約3cm。開花時から暫くはその名の通り白色だが、盛期を過ぎると紅紫色となる。(画像は9月、盛期である)
 一般に湿地性のキク科植物は良好な日照が必要とされるが、他種植物を凌ぐ草丈を持つタカアザミなど一部を除き、アシやオギの繁茂による遷移によって絶えてしまう場合が多く、オグルマやホソバオグルマなどとともに、やや希少である。利根川水系小貝川河畔では春先に野焼きされた場所に多く発生し、アシがまばらな地点には発生期である5〜6月に多くのロゼットが見られる。

 類似種としてシブカワシロギク(Aster rugulosus Maxim.var.shibukawaensis Kitam.& Murata.)という愛知県と静岡県のみに稀産する変種が知られている。

(P)2010年9月 茨城県

2015年6月 茨城県

同左
標準和名 シオン 学名 Aster tataricus L.f. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧II類(VU)

 山間の湿った草地に自生する大型のキク科植物。秋に紫色の花を多数開花させ、花色から紫苑(シオン)という和名となった。美しい植物だが残念ながら自生は九州の山間部のごく一部に少数が残存するのみ。ただし園芸流通が盛んで、通販でも入手できる。

 草丈は2m前後にまで育ち茎が直立、上部で枝分かれして多数の花を付ける。茎にはまばらに剛毛がある。根出葉は開花時には枯れるが非常に大きく60cm以上にもなるものがある。上部の葉は長楕円形、長さは10〜30cm、鈍頭で鋸歯があり、茎下部の葉では丸い基部のものが多く、上になるに従って楔形の基部となる。

(P)2015年10月 東京都(小石川植物園)
2015年10月 東京都(小石川植物園) 上部の葉 同左 基部近くの葉の形状 根出葉は枯れて見られない

2015年10月 東京都(小石川植物園)
標準和名 ヒメシオン 学名 Aster fastigiatus Fisch. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地に咲く小型の野菊。シオン(紫苑)の名が入るが、花色は紫ではなく白である。草丈は30cm〜1m程度、互生する披針形の葉の裏面には毛が密生する。帰化植物のヒメジョオンはまったくの別種植物だが、和名が本種に由来するとされている。花期は8月〜10月、茎上部に密度高く散房花序を付けるため、開花期は豪華な印象を受ける。

 関東地方では水田地帯には見られず自然湿地で見られるが稀である。都道府県版RDBにあげられていることも多く、この画像を撮影した栃木県(渡良瀬遊水地)でも準絶滅危惧となっている。

(P)2015年8月 栃木県(渡良瀬遊水地)
2015年8月 栃木県(渡良瀬遊水地) 茎と葉 同左 蕾

2015年8月 栃木県(渡良瀬遊水地)
標準和名 ヒロハホウキギク 学名 Aster subulatus  var. sandwicensis 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 北アメリカ原産の帰化植物で、日本には1960年代に侵入したと言われている。河川敷、畦など湿地地形に加え、乾地にも進出する。近似種のホウキギクとは(1)枝が横に広く展開する(2)葉幅があり、先端が鋭頭(3)葉の基部が茎を抱かない(4)頭花が大きい(5)花色が薄いピンク(ホウキギクは白)、等の相違点がある。
 湿地植物としてはやや大型、草丈は0.8〜1.2mほどになり、枝をよく分枝させて斜上する。葉は60mm〜100mm長の広線形で互生する。分岐した枝先に多数の花を付ける。花期は9〜10月。

 ホウキギクを含め、Aster subulatusは、原産地である北米でも変異幅が広く、我が国に帰化している種の学名に付いても一定しないとされている。(参考「日本の帰化植物」2003 平凡社 清水建美編)

(P)2015年9月 千葉県
2015年9月 千葉県 同左

2015年8月 千葉県

2015年10月 東京都 種子
標準和名 ホウキギク 学名 Aster subulatus  var. subulatus 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 北アメリカ原産の帰化植物で、明治末期に大阪府で発見されている。一回り草体の大きいヒロハホウキギクより帰化年代が古いが、北関東一帯ではヒロハホウキギクより少ない印象だ。
 ヒロハホウキギクと似ているが、(1)葉幅がやや狭い(0.5cm〜1cm、ヒロハは、0.8-2.5cm)、(2)花序枝の開出角度が30度〜60度(ヒロハは60度〜90度)、(3)花色が白、という明瞭な特徴がある。また全体的にヒロハホウキギクより小さいが混生地が少なく同時に見る機会は少ない。

 下の画像は江戸川左岸、千葉県での撮影だが運よくヒロハホウキギクとホウキギクが並んで生えていた。雨天で画像が良くないが、草体の大きさの比較にはなると思う。

(P)2015年10月 千葉県
2015年10月 千葉県 同左

2015年10月 千葉県 左:ヒロハホウキギク 右:ホウキギク
センダングサ属 Bidens
標準和名 アイノコセンダングサ 学名 Bidens pilosa var.intermedia 生活型 一年草 自生環境 水田
外来生物:外来生物法指定なし

 コセンダングサとシロノセンダングサの種間雑種とされるが、コセンダングサの変種とする説もある。学名は後者を指している。またシロノセンダングサ、コセンダングサ、アイノコセンダングサをすべてコセンダングサとする立場もあり、3種の形質は似通っている。
 本種は外周の筒状花のうちいくつかが白色になるが、シロノセンダングサほど大きくならず、ちょうどコセンダングサとシロノセンダングサの中間のようなイメージである。

 当地では水田地帯に普通で、他の外来種センダングサ属植物と共存している。本種が交雑種と仮定した場合、雑種優勢による他種の駆逐は見られないようだ。

(P)2015年11月 茨城県
2015年10月 千葉県 同左

2015年11月 茨城県
標準和名 コシロノセンダングサ 学名 Bidens pilosa Linn var. minor 生活型 一年草 自生環境 水田
外来生物:外来生物法指定なし

 別名シロバナセンダングサまたはシロノセンダングサ(異説あり)。南北アメリカ原産で明治後期に帰化したとされる。学名の通りコセンダングサ(Bidens pilosa var. pilosa 要注意外来生物)の変種とされ、白い花弁を持つのが特徴。葉は奇数羽状複葉である。
 開花前は区別が付きにくい類似種が多く、葉が複葉にならないタウコギ、黄色の花弁を持つセンダングサ、花弁を欠き総苞片が短いコセンダングサ、花弁がなく花の基部の総苞片が目立つアメリカセンダングサを種、本種コシロノセンダングサ、アワユキセンダングサを変種として扱っている。

 当地ではさほど多くないが、水田畦際にセイタカタウコギ(アメリカセンダングサ)と混じり自生している。花期は一般に9月中旬からとされるが画像クレジットの通り8月から開花を始める。

(P)2015年11月 茨城県
2014年8月 茨城県 同左
2015年7月 東京都 同左

2015年11月 茨城県

2015年11月 茨城県
標準和名 コセンダングサ 学名 Bidens pilosa var.pilosa 生活型 一年草 自生環境 水田
外来生物:生態系被害防止外来種

 コシロノセンダングサの項に記したように、変種関係にある。セイタカタウコギ(アメリカセンダングサ)に代わり急速に分布を広げている外来種。
 花弁を欠き総苞片が短いので、開花していれば判別は容易。草丈は50cm〜1m、茎は4角柱状〜6角柱状で葉は上方では互生するが根元近くでは対生する。染色体は2n=36,46,72とされ変異幅が大きい。変異は主に土壌の状態や日照などで発現するようだ。

 当地では水田の畔、畑地、路傍など広範に自生する。セイタカタウコギやコシロノセンダングサに比べて圧倒的に多く、キク科雑草の代表的存在となっている。

(P)2014年8月 茨城県
2014年9月 茨城県

2015年9月 茨城県

2015年10月 茨城県
標準和名 コバノセンダングサ 学名 Bidens bipinnata L. 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 帰化植物だが帰化年代が明確ではないほど古い。さらに新顔帰化植物に押されているのか分布が薄く、あまり目にする機会もない。言わばキタミソウの如き絶滅危惧外来生物だ。(キタミソウは絶滅危惧種の指定があり本種はない)

 花はセンダングサに似て舌状花が黄色、筒状花も黄色で花柄が長い。茎は4稜があり四角柱状で多く分岐する。葉は上部が互生、下部は対生。センダングサとの違いは葉の形状で2〜3回出の羽状複葉で中裂〜深裂する。ホソバノセンダングサ(Bidens parviflora)にも似るが、同種は舌状花がなく、より葉が細い。侵入生物データベースによれば「定着」とされているが、コバノセンダングサ以上に見る機会が稀である。

(P)2015年9月 東京都
2015年9月 東京都 特徴的な葉 同左

2015年9月 東京都
標準和名 セイタカタウコギ 学名 Bidens frondosa Linn. 生活型 一年草 自生環境 水田
外来生物:生態系被害防止外来種

 またの名をアメリカセンダングサ、北米原産の帰化植物である。かなり大型化し(条件により1.5mぐらいまで)、その発生数と相まって水田の強害草となっている。湿地でも相当数が見られる。まったく水気の無い荒地や道端にも自生し、晩秋に草むらを歩くと先端に2本の突起がある1cmに満たない種子が服に付着する。一度付着するとオナモミ以上に強力な「ひっつき虫」である。動物によって分布を広げるタイプの雑草なのであろう。
 西日本では本種に代り、これまた帰化植物のコセンダングサが優勢になっている、と聞くが関東地方ではまだ見かけたことはない。帰化種を帰化種が追う二次的な侵略、ブラックバスの卵や稚魚をブルーギルが狙う図式のようでおぞましい。自然環境では「毒をもって毒を制す」はあり得ない。
 草体の特徴は四角柱の茎、葉は複葉で対生、3〜5個の小葉からなる複葉で構成されている。(画像は発芽後日が経っていない)

(P)2005年5月 茨城県 発芽 More invaderセイタカタウコギ
2013年10月 茨城県 開花 同左
2015年9月 東京都 総苞片はタウコギより細長い 同左

2015年9月 東京都

2015年10月 東京都
標準和名 タウコギ 学名 Bidens tripartita Linn. 生活型 一年草 自生環境 水田
環境省レッドリスト2015:記載なし

 近年セイタカタウコギ(アメリカセンダングサ)に圧迫されて減少していると言われているが(地方によってはRDB記載!)、地元近辺では両者混生しており、基本的には繁殖力はセイタカタウコギと同じであると思われる。草高は1m程度までで、セイタカタウコギよりはやや低い。水田で最も一般的な雑草の一つである。
 漢字では「田五加木」と書くが、木本のウコギの葉に似ることによると言われる。セイタカタウコギとの違いはタウコギの茎は丸くアメリカセンダングサは四角いのですぐに分かる。

 属名にもなっている「センダングサ」は別種の植物であるが「栴檀は双葉より香し」の栴檀(せんだん)に葉が似ていることによるらしい(栴檀は香木の白檀の別名)。「センダンに似た草の同属でウコギに似た草」借り物ばかりの名前が何とも気の毒ではある。もちろん本種含めて香気はしない。

(P)2005年5月 茨城県
2015年8月 東京都 同左
2015年9月 東京都  頭花に舌状花はない 同左 総苞片はセイタカタウコギより幅があり短い

2015年9月 東京都

2015年10月 東京都
標準和名 ハイアワユキセンダングサ 学名 Bidens pilosa var. radiata f. decumbens 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:生態系被害防止外来種

 北アメリカ原産の帰化植物。類似のセンダングサ属植物同様に水湿地以外に路傍や原野など乾地にも進出する。沖縄県全域に帰化定着し問題となっている。温帯では一年草であるが亜熱帯では多年草となる。

 目立つ白い舌状花を持ちコシロノセンダングサに似るが、舌状花がより大きい。コセンダングサの変種であるタチアワユキセンダングサの品種とされる。和名の「ハイ」は「這い」であるが、茎が一度地を這うが成長とともに立ち上がる。(画像参照)
 複葉は3小葉であるがタチアワユキセンダングサは通常5小葉であり、品種以上の距離を感じるが立場により両種を区別しないこともある。

(P)2015年9月 東京都(帰化植物見本園)
2015年9月 東京都(帰化植物見本園) 同左
タカサゴソウ属 Ixeris
標準和名 イワニガナ 学名 Ixeris stolonifera A.Gray 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 身近な植物であるのにやや正確な情報が乏しい。第一に別名「ジシバリ」が信頼できる出版社の図鑑でも標準和名の扱いとされている場合が見られる。第二にニガナ属の扱いとなっている場合も多々見られる。ここでは情報ソースの一貫性を優先し、oNLINE植物アルバムの分類に従い、タカサゴソウ属イワニガナとさせて頂くことにする。

 水田脇や湿地外縁にも生えるが、山林の縁、道路法面などにも見られる。元々イワニガナの「イワ」は岩の上の僅かな土にも生えることに由来するらしい。水田ではニガナ属オオジシバリと混生も見られるが、花が酷似しており根元のロゼットを確認しないと区別が付かない。田植えの頃、畦に黄色い花を咲かせる風物詩だが、近年はセイヨウタンポポの進出が甚だしく微妙に減少しているような気もする。

(P)2009年5月 茨城県
2015年4月 東京都 同左
標準和名 オオジシバリ 学名 Ixeris debilis A. Gray 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 似た名前のジシバリがやや陸地性であるのに対し湿地性のキク科植物である。田植え前に水田畦際で開花している姿をよく見かける。
 ジシバリ、すなわち地縛り、であり地面を縛り付ける程の勢いで根を張り繁茂することに由来する。現実には画像のように他種雑草と混生し花だけが突出するような自生で、特に排他性があるというわけではない。(画像ではスギナやシロツメクサと混生している)

 田植え前には畦や水田周辺の草刈が行われるが、本種は張り巡らされた地下茎を持っており、すぐに芽を出してしまう。この辺りの「しぶとさ」が大地縛り、と呼ばれる所以であろう。尚、本種に付いてもニガナ属とされることがある。

(P)2008年4月 茨城県
2015年4月 東京都 同左
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