日本の水生植物 水生植物図譜
キキョウ科 Campanulaceae
(APGV:キキョウ科 Campanulaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGV分類 併記
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ツリガネニンジン属 ミゾカクシ属
ツリガネニンジン属 Adenophora
標準和名 ツリガネニンジン 学名 Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC.var.japonica (Regel) Hara 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地植物ではなく山野や庭植えの植物として有名である。ここで取上げる意味は湿地にも侵入する、すなわち嫌気土壌にも対応できる性質を持っている、ということによる。画像は貧栄養の酸性湿地、千葉県山武市の成東・東金食虫植物群落のものであるが、8月後半にはこの湿地でオミナエシとともに最も目立つ植物となるほどである。

 ツリガネ、の名の通り花は下を向くがキキョウ科らしい美しい青花を多数付ける。観賞用植物としても優れている。また、去痰、鎮咳、去痰の薬効がある薬用植物である他、新芽を山菜として食用利用できる有用植物でもある。

(P)2009年8月 千葉県
2015年7月 東京都 同左 茎と葉

2015年7月 東京都
ミゾカクシ属 Lobelia
標準和名 サワギキョウ 学名 Lobelia sessilifolia Lamb. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地に産するロベリア。夏に本家キキョウに勝るとも劣らない美しい花を見せる。沢桔梗であるが「沢」の地形よりも日当たりの良い湿地に自生する。園芸植物としても売買されているが、サワギキョウとして販売されているものの中には結構な確率で北米産のベニバナサワギキョウが混じっているので注意が必要。
 自然下では日当たりや栄養分等の条件により1mを越える大型の草体となるが、草体のわりに根張りが弱いのか、風によって倒れやすい。多年草で根茎が越年する。

 環境省RDBには記載されていないが、都道府県版RDBには記載される場合が多く、事実湿地で見かけることも稀な植物となっている。山野草範疇でありこの種については採集圧も減少の大きな要因になっているように感じる。

(P)2008年7月 茨城県(自宅育成)
2008年7月 茨城県 同左

2015年7月 東京都
標準和名 ミゾカクシ 学名 Lobelia chinensis Lour. 生活型 多年草 自生環境 水田
環境省レッドリスト2015:記載なし

 別名アゼムシロ。溝を覆い隠す(ミゾカクシ)、畦に筵のように広がる(アゼムシロ)、どちらにしてもこの植物の本質を示した和名となっている。水平方向に短期間に繁茂する。とは言え、最近では整備された圃場では見かけることが少なくなってきた。キキョウ科特有の美しい形の花を開花させる。赤花と白花があり、赤花は園芸植物として販売されていることもある。(改良品種?)茎は細く匍匐し群生する。湛水中の水田内に侵入することは稀で、和名通り畦に生えていることが多い。

 野草として一見天婦羅などに適していると思わせる草体であるが、ロベリアに特有の「ロベリン」という毒性があるので食用にはならない。要注意。これは他の水辺のキキョウ科、サワギキョウにも言えることである。

(P)2002年8月 茨城県
2011年8月 茨城県 同左
2014年6月 茨城県 白花 同左

2014年6月 茨城県 群生、溝を隠し畦の筵状となる
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