日本の水生植物 水生植物図譜
ハナヤスリ科 Ophioglossaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
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ハナヤスリ属
ハナヤスリ属 Ophioglossum
標準和名 コヒロハハナヤスリ 学名 Ophioglossum petiolatum Hook. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地やその周辺、原野に自生する夏緑性多年生シダ。国内の分布は本州(山形・宮城以南)から沖縄県までと広いが、元々は中国原産らしい。小型のシダで栄養葉は葉長10cm前後で環境により25cm前後まで大きくなる。葉形は環境により変異が大きいが、基本的には和名の通り長楕円形のものが多いようだ。胞子葉は6〜7cmで直立する。花期は4〜10月と長い。

 環境省の絶滅危惧種ではないが関東地方での分布は薄く、栃木県と千葉県以外の各都県ではRDBに記載されている。この画像の株はヒロハハナヤスリと同一の自然度の高い河川敷に混生していた。

(P)2016年4月 埼玉県
標準和名 トネハナヤスリ 学名 Ophioglossum namegatae Nishida et Kurita 生活型 一年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU)

 栃木県、千葉県、大阪府など非常に限られた地域の湿地に自生するシダ植物。元々は茨城県取手市の利根川河川敷で発見されたが同地ではすでに消滅している。トネは利根川、シダ植物なので花は咲かないが、ヤスリ状の胞子嚢を花穂に見立てた和名である。
 渡良瀬遊水地では毎年野焼き後のアシ原に凄まじい個体数が出現する。一方天候不順などの理由で野焼きが不完全、アシの枯死体が残るような場所では見られない。言ってみれば「野焼き依存型」のシダ植物である。アシの新芽が伸び日照を遮るようになる6月には姿を消す「春型植物」でもある。
 上記の通り野焼きを行う河川敷が減少していることで(取手市の絶滅原因もこれと考えられる)見られる場所が限られるが、逆に見られる場所では圧倒的な個体数である。環境省RDBでは絶滅危惧IB(CR)類とされているが、このような状況を加味してのものか、レッドリスト2007では標記の通り絶滅危惧II類(VU)とされている。

(P)2010年4月 栃木県 渡良瀬遊水地

2010年4月 栃木県 渡良瀬遊水地

同左 野焼き跡に一斉に芽吹く
標準和名 ヒロハハナヤスリ 学名 Ophioglossum vulgatum L. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 4〜6月に生育し胞子を生産して活動を終了するスプリング・エフェメラルのシダ植物。このため別名ハルハナヤスリとも呼ばれる。内陸の湿地やその周辺に広く分布する。和名の通り同属他種に比べて幅広い栄養葉(葉幅8cm程度)を持つ。形状は長楕円形〜卵形、中央部より基部近くが広い。

 環境省カテゴリーには記載されていないが都道府県RDBでは各地で絶滅危惧種となっている。関東近辺では山梨県、埼玉県、東京都で絶滅危惧種T類、千葉県で絶滅危惧種U類になっており減少傾向が甚だしい。この画像を撮影した埼玉県でも自生は荒川沿いの一部地域などに限られるようだ。

(P)2016年4月 埼玉県

2016年4月 埼玉県
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