日本の水生植物 | 水生植物図譜 |
アカネ科 Rubiaceae (APGV:アカネ科 Rubiaceae) |
■絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠 ■外来生物表示:外来生物法第八次指定 ■植物分類:APGV分類 併記 |
genus search オオフタバムグラ属 フタバムグラ属 ヤエムグラ属 |
オオフタバムグラ属 Diodia |
標準和名 | オオフタバムグラ | 学名 | Diodia teres | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 湿地 |
外来生物:外来生物法指定なし 北アメリカ原産で帰化年代は古く、1927年に東京都で確認されている。現在では関東地方以南に広く定着している。メリケンムグラに似るが花弁がピンクである。また、葉幅が狭い。茎は斜上し、葉は無柄、両面に硬質の短毛がある。花は葉腋に付き、白からピンクである。(ほとんどの場合ピンク)花冠は4裂し、雄蕊も4本である。メリケンムグラ同様に乾地にも進出し、鳥取砂丘では爆発的に増殖して草原化を引き起こしているため、問題となっている。 北関東付近ではメリケンムグラほど多くない印象だが、同様に河川敷の砂地部分などに群落が見られる。フタバムグラと異なり抽水状態で自生することはないようだ。 (P)2015年7月 東京都 |
2015年7月 東京都 | 同左 |
2015年8月 東京都 2019年9月 茨城県 2019年9月 茨城県 |
標準和名 | メリケンムグラ | 学名 | Diodia viriginiana L. | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 湿地 |
外来生物:外来生物法指定なし 北アメリカ原産で関東地方以西に帰化している一年草(または多年草)。草体はごつく、アカネ科他属の植物には似ていない。茎が盛んに分岐して匍匐し、広がる。茎には4稜があり、稜上に毛がある。(下右画像参照)葉には柄がなく、長さ5cm前後、幅は1cm前後で鋭頭。花は白で、似た草姿の同属植物オオフタバムグラ(花はピンクで形が異なる)と区別できる。 湿地依存度はさほど高くないが、関東地方では利根川下流域の河川敷などに定着しており、また稀に水田の畦などでも見ることができる。抽水することはないが、根に嫌気耐性があり、他の湿地植物と混生していることから湿地植物として取り上げた。 (P)2015年7月 東京都 |
2015年7月 東京都 | 同左 |
2015年9月 東京都 |
フタバムグラ属 Hedyotis |
標準和名 | ナガエフタバムグラ | 学名 | Hedyotis diffusa Willd. var.longipes Nakai | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 水田 |
環境省レッドリスト2015:記載なし フタバムグラの花柄が長い程度、という極めてアバウトな「種」である。アバウトなのは柄の長さで、ほとんど無いフタバムグラに比し、5mm以上あればこう呼ぶらしい。しかし4.5mmの場合どうするのか、5.5mmのものと「種」として区分する意味があるのか、というとたぶん無い。 花柄の長さに関しては3〜5mm程度の「中間型」とされるものも報告されており、私も何株か見つけているが、これに関しては「種」として独立しておらず、判断が難しいところだ。上記の通り花柄以外はフタバムグラと同一であって、種内変異とするのが相応しいと思うがどうだろうか。 茨城県南部では水田地帯に産するがさほど多くなく、場所によりフタバムグラと混生している。耕作田周辺よりも放棄水田が湿地化した地形に多く、ミズガヤツリ、ノチドメ、イボクサなどと混生が見られる。 (P)2010年8月 茨城県 特徴とされる花柄 |
2010年8月 茨城県 花 | 同左 葉、成長点 |
標準和名 | フタバムグラ | 学名 | Hedyotis diffusa Willd. | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 水田 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 細長い葉をまばらに対生させる小型のアカネ科水田雑草。葉に独特の光沢があり、小型草体ながら水田・湿地でもやや目立つ。白い小型の花を付ける。ナガエフタバムグラとは花柄の有無により区別される。 本種も典型的な史前帰化種と考えられ、亜熱帯〜熱帯地域に分布する同種は多年草であり一年中開花するが、日本本土のものは一年草であり開花は夏〜秋となる。花色は白、筒状で四裂する。果実は球形に近く先端に萼片が残存する。 関東地方では水田畔など湿地地形に多いが、畑地や、やや湿り気のある道端などにも進出し、湿地植物とは言えない生態もある。ただ育成下では沈水状態でも長期間生育するので「水草的」な植物生理も兼ね備えていることが推測される。 漢方では白花蛇舌草、根を含む全草を乾燥させたものが用いられ、解毒、利尿、止痛などの効果があるとされてきたが、近年の研究で肝癌細胞殺滅や抗バクテリオファージ作用などの効能もあることが分かって来た。 (P)2003年7月 茨城県 |
2011年8月 茨城県 花後の果実。萼片が残存し柄はない | 同左 草体 |
2014年8月 茨城県 耕作水田 | 同左 |
ヤエムグラ属 Galium |
標準和名 | カワラマツバ | 学名 | Galium verum var. asiaticum f.nikkoense | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 河原や溜池堤防、畦などに自生するヤエムグラの仲間。南西諸島を除き全国に自生する。葉が細く、6〜12枚の線状のものを輪生(葉は本来2枚、他は托葉が分裂したものだが見分けが困難)させる様子を「松葉」に模した和名。初夏に直径約3mm程度の小さな白色の4弁花を咲かせる。本種は変種を示す学名が付与されているが、キバナカワラマツバ(Galium verum L. var. asiaticum Nakai)が母種とされる。しかしキバナカワラマツバ自体も変種であり、このグループは変種や亜種が多く複雑である。 草丈は60〜80cmで大型、葉長は約1〜4cmで上記のとおり分裂した托葉とともに輪生する。河原に多く和名にも付与されているのは湿地依存ということよりも、遮蔽物や大型木本が少ない河原が向陽地であることによる可能性が強い。 (P)2015年6月 東京都 |
2015年6月 東京都 小さな白花を多数付ける | 同左 輪生する細い葉 |
標準和名 | ハナムグラ | 学名 | Galium tokyoense Makino | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU) 非常に希少な植物で、我が国には利根川流域(知られている自生地は利根川支流小貝川流域と渡良瀬遊水地)と他数箇所のみ。自生環境を見て理解できたが、自生に適した場所は地下水位が高く、度々冠水する河川敷であり、こうした環境は河川敷の利用や護岸によってかなり減少している。画像は取手市内のものだが、同じ市内でも前述の開発が進んだ利根川河川敷では見られない。 ヤエムグラ属の他種と異なり草体は大きい。特に葉が大きく、多くの場合6輪生の幅の広い葉を付ける。花は小さいが密集するために豪華な印象を受ける。アシ帯の中など他の植物が密生する場所にも自生し、他種に絡みつくように伸長する。またこのための微小な逆棘を持つ。 渡良瀬遊水地や常総市の自生地はともかく、他の自生地では野焼きやアシ刈が行われておらず、遷移によって個体数が減少している場所もあり、存続が危ぶまれる状況となっている。 (P)2010年6月 茨城県 |
2010年6月 茨城県 | 同左 |
2014年5月 茨城県 | 同左 |
2011年6月 茨城県 2018年5月 栃木県(渡良瀬遊水地) |
【ハナムグラ】2016年5月 茨城県 |
標準和名 | ホソバノヨツバムグラ | 学名 | Galium trifidum L. var. brevipedunculatum Regel | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 常時冠水しない湿った土地に自生する。注意深く観察しないと見逃してしまう程草体も花も小さい。広範囲に自生するが、自生地でも株数は少ない。同じアカネ科ヤエムグラ属のヤエムグラ(Galium spurium L. var. echinospermon (Wallr.) Hayek)が畑地や道端などいたるとこで蔓延っているのとは対照的だ。 自生地では他の植物に寄りかかるように生育し、小さな花を咲かせる。自生環境は他にアシ、ハンゲショウ、ヤワラスゲ、ミコシガヤ、コゴメイ、シロバナサクラタデ、ミゾソバなどが見られる典型的な湿地である。撮影地は手賀沼北岸の湖岸湿地であるが、近年埋め立てや湖岸整備等によって環境が激変しており、こうした普遍的な湿地植物も見られる場所が限定的になって来ている。 (P)2010年6月 千葉県 |
2015年6月 千葉県 | 同左 |
2015年6月 千葉県 |