日本の水生植物 | 水生植物図譜 |
ツリフネソウ科 Balsaminaceae (APGV:ツリフネソウ科 Balsaminaceae) |
■絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠 ■外来生物表示:外来生物法第八次指定 ■植物分類:APGV分類 併記 |
genus search ツリフネソウ属 |
ツリフネソウ属 Impatiens |
標準和名 | キツリフネ | 学名 | Impatiens noli-tangere L. | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 山地の渓谷沿いなど湿り気の多い場所に自生するツリフネソウ。花色が黄色であることからキツリフネと呼ばれる。ツリフネソウの仲間では唯一の黄花である。画像は奥日光の山の斜面でのものだが、水が滲み出す湿地地形に自生していた。半日陰を好むためか、開けた湿地である戦場ヶ原や小田代ヶ原には見られなかった。 この奇妙な学名、noli-tangereは「私に触るな」で、属名のImpatiensを併せると忍耐がない私に触るな、となり、推測するに触れると種子がはじけ飛ぶホウセンカの仲間であることに由来するのではないか、と思う。 自生のツリフネソウ全般、標高の高い場所では開花が早く、低地では遅い傾向がある。平地の開花は9〜10月頃だが、この画像は奥日光(標高約1300m)での7月中旬のものである。混生するツリフネソウも同様であった。 (P)2009年7月 栃木県 |
標準和名 | ツリフネソウ | 学名 | Impatiens textori Miq. | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 属名通り園芸植物に仲間が多いインパチェンスである。花も美しいし、ついでに言えば名前も美しい。花を舟に、花柄を釣り糸に見立てた優雅な和名である。山間の湿地などにひっそり咲く姿は気品を感じさせる。その「湿地」だが一般的に想起される湿地という地形よりも山間の川の傍などに多く、開けた湿地よりも林間に流れる細流の縁などにひっそりと自生している場合が多い。渡良瀬(ワタラセツリフネソウ、近似種)のような開けた湿地にあるのは経験上珍しい。 草丈40-80cm長、葉には鋸歯があり、楕円形〜広披針形、楕円形に近いキツリフネより細い。花期は8〜10月だが自生する標高によっても異なる。 (P)2008年9月 茨城県 |
2015年9 月 千葉県 |
同左 |
2015年10月 千葉県 果実 |
同左 |
2015年9月 千葉県 |
標準和名 | ワタラセツリフネソウ | 学名 | Impatiens sp. | 生活型 | 一年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2015:記載なし 渡良瀬遊水地に精通するフィールドワーカー大和田真澄氏が遊水地に自生するツリフネソウの相違点を調査、新種として2005年に記載されたものである。ただし学名はまだsp.のままで固有の種小名は付与されていない。形態的な特徴はツリフネソウに比べ花茎が無毛、小花弁が丸みを帯びるという微小な相違点である。 その後千葉県内などいくつかの湿地で発見された本種は様々な理由で絶滅または減少している。やや乾燥地にも進出する点を考えれば(渡良瀬遊水地では道路際にもあった)湿地植物のタイプとしては半乾地性ではないか、と思われる。また、渡良瀬遊水地という固有の環境で独自の進化を遂げた植物であって、ツリフネソウとは生態も異なっているように見える。 尚、本種は花の形状が4タイプあり、それぞれ亜種変種の可能性もあるようだが現状は分類されていない。 (P)2007年9月 栃木県 渡良瀬遊水地 |
2011年10月 栃木県 渡良瀬遊水地 |
同左 |
2011年10月 栃木県 渡良瀬遊水地 |
同左 |