日本の水生植物 | 水生植物図譜 |
リンドウ科 Gentianaceae (APGW:リンドウ科 Gentianaceae) |
■絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2017準拠■ ■外来生物表示:外来生物法第八次指定■ ■植物分類:APGW分類 併記■ |
genus search センブリ属 リンドウ属 |
センブリ属 Swertia |
標準和名 | アケボノソウ | 学名 | Swertia bimaculata (Siebold et Zucc.) Hook.f. et Thomson ex C.B.Clarke | 生活型 | 越年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2017:記載なし 花弁に現れる2種類の斑点によって非常に複雑で精緻な印象を受ける花を咲かせる越年草。北海道から九州までの国内の他、中国、ヒマラヤに分布する。平地にはあまり見られず、山地の湿地や川の畔などに自生する。 越年草の一年目はロゼットだけで、二年目に地上茎を出して開花する。地上茎は四角柱状、葉は対生で葉柄はほとんどない。変わっているのは花冠の裂片に蜜腺があることで、受粉に有利な構造であることが推測される。あまり他の植物には見られない特徴だ。 花が美しく、また多数咲かせるので山野草としての流通もそこそこある。しかし経験上、育成環境下ではなかなか発芽せず、発芽した株も開花が思わしくなかった。 (P)2017年9月 自宅育成 |
2017年8月 地上茎と葉 自宅育成 |
2017年9月 栃木県 |
2017年9月 栃木県 |
標準和名 | イヌセンブリ | 学名 | Swertia diluta (Turcz.) Benth. et Hook var. tosaensis (Makino) Hara | 生活型 | 越年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2017:絶滅危惧U類(VU) 国内では本州、四国、九州(海外では朝鮮半島、中国)に分布する越年草。湿地に自生するが湿地の減少とともに少なくなり、現在では環境省レッドデータで絶滅危惧U類(VU)に指定されている。 茎は直立して分枝し、葉は対生、葉長5p、幅1p前後で全縁。花は直径約1.5cmで花冠が5裂する。白色で紫色の筋があり、花冠基部に毛が生える。小さいが非常に美しい花を多数付ける。開花時期は秋、10〜11月。 和名由来は「昔から胃薬として利用され、非常に苦い味が千回振り出してもまだ持続するセンブリ」に草体が似て苦味がない(薬効がない)という意味から来ている。実際は口にしてみると僅かに苦味が感じられる。関東地方では残存が少なく、産地でも株数が減少しておりレッドデータのランク通りの実情となっている。 (P)2015年10月 千葉県 |
2015年10月 千葉県 |
同左 |
2015年10月 千葉県 |
リンドウ属 Gentiana |
標準和名 | ハルリンドウ | 学名 | Gentiana thunbergii Griseb. | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2017:記載なし 和名の通り春、4〜5月に開花する湿地型のリンドウ。稀に白花種があり「シロバナハルリンドウ」として区別する立場もある。春に開花するリンドウは他にタテヤマリンドウ(ハルリンドウの変種、高地湿地型)、フデリンドウ、コケリンドウ(乾地型)などがある。 本種の花茎は基部で分岐し、数本が集まって直立〜斜上して開花する。画像のように一株で何輪も開花するので群生すると見事な光景となる。葉は卵状披針形で3〜5対と少なく目立たない。草体や花はリンドウに比べて小さい。本種もリンドウ属他種同様に雨天や曇天の日は開花しないが、結実後、雨によって種子を散布させる。(雨滴散布) (P)2016年4月 千葉県 |
2016年4 月 千葉県 |
同左 |
2016年4月 千葉県 |
標準和名 | ホソバリンドウ | 学名 | Gentiana scabra var. buergeri f. stenophylla | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2017:記載なし 学名が示す通りリンドウの品種、特にリンドウの湿地型とされることが多いが、リンドウ自体も湿地で見られることが多く自生地形による判別は難しい。また葉幅はその名の通りリンドウより細いが、厳密に決まっているわけではなく、混生する湿地ではどちらとも判断が付かない株も多い。 草丈は30cm前後のものが多く、場合により1m近くにもなる。葉は対生、幅は1cm以下のものが多い。開花はリンドウと同時期で10月下旬頃(関東地方基準)、初冬の11月下旬でも開花する場合もある。 リンドウ属全般、曇天では花が開かず閉じたままの状態が多いが、薄曇り程度なら開花するようだ。レッドデータには記載されていないが、北関東では見られる場所が限られる。ヤマラッキョウとともに湿地シーズンの最後を飾る花である。 (P)2012年11月 茨城県(自宅育成) |
2015年10 月 千葉県 |
同左 |
2015年10月 千葉県 周囲にヤマラッキョウやワレモコウが見える |
標準和名 | リンドウ | 学名 | Gentiana scabra Bunge var. buergeri (Miq.) Maxim. | 生活型 | 多年草 | 自生環境 | 湿地 |
環境省レッドリスト2017:記載なし 本州、四国、九州の湿った山野に自生する。利根川水系では湿地にホソバリンドウやハルリンドウと同所的に自生する場所もある。 生薬名が竜胆という薬草でもある。仲間と同じく晴れた日に開花する。花期は9〜11月で秋を代表する山野草である。(横に湿地の晩秋を彩るヤマラッキョウが見える) 葉は被針形で対生、ややざらつく。茎先や上部の葉脇に青紫色の鐘形の花を付ける。花冠は長さ4〜5cmで先端が5裂する。学名がvar.(変種)なのはチョウセンリンドウの変種とされているからだ。 (P)2015年10月 千葉県 |
2015年10月 千葉県 |
同左 |
2015年10月 千葉県 湿地に直線上に生えている |