日本の水生植物 水生植物図譜
ヒユ科 Amaranthaceae
(APGV:ヒユ科 Amaranthaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGV分類 併記
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ツルノゲイトウ属
ツルノゲイトウ属 Alternanthera
標準和名 ツルノゲイトウ 学名 Alternanthera sessilis (L.) DC. 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 中国南部、台湾や東南アジアの亜熱帯域から熱帯にかけて分布する植物。関東地方にも帰化定着しているがナガエツルノゲイトウほどの排他的な繁茂は見られない。日当たりのよい湿地を好むとされており、当地では他の植物に遮られない霞ヶ浦の浜などでよく見られる。

 原産地や温暖な地域では多年草だが、関東地方では一年草である。このことから図鑑等では「一年草または多年草」と表現される。地面を匍匐、または斜上する。茎は多数分枝するがナガエツルノゲイトウのような巨大な群落は確認していない。葉は対生で全縁、ほぼ無柄だが僅かな柄がある場合がある。花は葉腋に付き球形、花被片は5、無毛で白色である。

(P)2019年9月 茨城県(霞ヶ浦) 浜辺の砂地に定着していた

2019年9月 茨城県(霞ヶ浦)

同左

2019年9月 茨城県(霞ヶ浦)
標準和名 ナガエツルノゲイトウ 学名 Alternanthera philoxeroides (Mart.) Griseb 生活型 多年草 自生環境 湿地
外来生物:特定外来生物

 特定外来生物に指定されている南アメリカ原産の植物。水域のみならず、陸上まで生育可能であり、極めて侵略的な植物である。日本国内の分布が一部の地域に限られるため、外来生物法で特定外来生物に指定された際には多くの疑問の声が上がったが、自生地周辺の状況を見れば危険性が納得できる。1989年に兵庫県尼崎市で定着が確認され、その後広域に分布を拡大している。2011年現在では利根川流域が北限と思われるが、正確なところは分からない。
 利根川流域では印旛沼、将監川など千葉県北部に多く、一部は水田にも入り込んでいる。画像のように分岐して水面を覆い、防除の際にも千切れた欠片から草体を容易に再生させるため、非常に駆除が困難な害草である。

 現状、当水系では利根川北岸には大きな群落は少なく、むしろミズヒマワリやオオフサモの群落が目立つが、繁茂するのは時間の問題と思われる。

(P)2011年5月 千葉県  More invaderナガエツルノゲイトウ

2011年5月 千葉県

同左 花

2014年5月 千葉県 水面に展開する

同左 池の岸を占拠する

2014年5月 千葉県 水路に蔓延る。右はカヤツリグサ科アゼナルコ

動画 2016年5月 千葉県手賀沼
標準和名 ホソバツルノゲイトウ 学名 Alternanthera nodiflora R.Br. 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 湿地に生える熱帯アメリカ原産の一年草。ナガエツルノゲイトウに比べると全国的に分布は薄く、国立環境研究所侵入生物DBによる分布では北関東には侵入していない。
 茎は分岐を繰り返して地を這い、50cm長になる。葉は対生で無柄、広線形〜線状披針形で幅3〜6mm「ホソバ」和名由来となっている。花は葉の基部に咲き白色である。この、花序を葉腋に付ける点が近似種ナガエツルノゲイトウやツルノゲイトウとの判別のポイントになっている。

 北関東では前述の通り分布がなく、被害実態もないが環境省ではツルノゲイトウ属全種(約80種)を「種類名証明書添付生物」に指定しており、個人輸入の際にも規制がかかるので要注意である。

(P)2015年7月 東京都

2015年7月 東京都 葉脇に付く白い花

同左 草体

2015年7月 東京都
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