日本の水生植物 水生植物図譜
ヒルムシロ科(1) Potamogetonaceae
(APGV:ヒルムシロ科 Potamogetonaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2015準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGV分類 併記
genus search
アマモ属 ヒルムシロ属

アマモ属 Zostera (APGV:アマモ科 Zosteraceae アマモ属 Zostera )
標準和名 コアマモ 学名 Zostera japonica Aschers. et Graebn. 生活型 多年草 自生環境
環境省レッドリスト2015:記載なし

 樺太からベトナム沿岸まで、北西太平洋に広く分布する。アマモと同様に砂泥地に自生するが、アマモより浅い場所を好む。また波浪が強いと砂泥が動いて定着できないので波の穏やかな内湾に多い。本種は海草(藻類)ではなく種子植物、単子葉植物である。
 APG植物分類体系、また旧体系においてもアマモ科(Zosteraceae)として独立させる場合があるが、本サイトでは旧体系準拠の分類を行っており、ヒルムシロ科のページに紹介している。(アマモ科の独立を否定しているわけではない)

 茨城県では汽水域でリュウノヒゲモやカワツルモと同一水域に自生する場合があり、事実アマモよりもやや塩分の低い海域や河口域に多いとする意見もある。

(P)2013年8月 茨城県(筑波実験植物園)
ヒルムシロ属 Potamogeton
標準和名 イトモ 学名 Potamogeton berchtoldii Fieber 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:準絶滅危惧(NT)

 類似の細い沈水葉を持つヤナギモやセンニンモに比べてさらに細い(葉幅0.5〜1mm程度)沈水葉を持つヒルムシロ科の多年生草本。
 全体の雰囲気はホソバミズヒキモ(Potamogeton octandrum Poiret)に似るが、イトモは浮葉をだすことはない。近似種のツツイトモ(Potamogeton pusillus L.)は托葉が合着して膜状の筒となることで判別できる。アイノコイトモ(Potamogeton × orientalis Hagstr.)は葉幅がヤナギモとイトモの中間的形質であるが、個体差もあるので慎重な同定が必要となる。
 と言った傍から何だが、画像の株はイトモの自生地として知られている場所からのもので自分では詳しい同定は行っていない。ヤナギモ、リュウノヒゲモ、ホソバミズヒキモは同定できることで一応の「論理的な」同定とさせて頂いた。 列記した細葉のヒルムシロ科同様に止水より流水で目にする機会が多いが、流水が何らかの生育条件になっているかどうかは不明。

(P)2007年6月 茨城県(自宅育成)
標準和名 エビモ 学名 Potamogeton crispus Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 ヒルムシロ科においてはササバモやヤナギモとともに最も普通に見られる種であるが、霞ヶ浦周辺では年々自生地が減っており見られる地域はかなり限られてしまった。自生地も画像の通り透明度の低い汚れた場所が多く、生育環境そのものが危機に瀕している。

 一般的に夏季に殖芽(越夏芽)を形成するが、湧水河川や一部湖沼のものは形成しない事を確認済み。また越夏芽を形成しないタイプは概して草体が小型であり、個体群の形質なのか亜種の可能性があるのか、興味深い。(下2点、湧水河川に於ける通年生育型。草体の印象の相違が甚だしい)

(P)2004年4月 茨城県
2010年5月 茨城県 湧水河川での自生 2005年8月 茨城県 小型草体
2015年5月 千葉県 湧水河川 同左

動画 2010年5月 茨城県
標準和名 オヒルムシロ 学名 Potamogeton natans Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 ヒルムシロやフトヒルムシロ同様浮葉を出すヒルムシロ科植物である。両種との決定的な違いは発芽後の沈水葉の形状にあり、線型の細い葉を展開することで同定できる。(下左画像を参照)
 浮葉は「雄」ヒルムシロだけにやや太く、大型であるがヒルムシロも栄養状態によって大型の浮葉を展開するので浮葉のみによる判定は不可能。
 東日本では自生地が限られており、自生を見たことがあるのは福島県の国立公園内のみである。水槽内では光量不足のためか浮葉を展開することは少なく、細い水中葉を一定期間楽しめる。屋外育成ではヒルムシロ同様非常に繁茂するので他種と混植する場合には注意が必要。この手のヒルムシロ科は適切な環境であれば繁殖力が強いので、採集は最低限に抑えたい。

(P)2005年5月 茨城県(自宅育成)
2005年5月 茨城県(自宅育成) 沈水葉 2011年7月 茨城県(自宅育成) 浮葉
2014年3月 茨城県(自宅育成) 流線型の沈水葉 2014年3月 同左 節から芽を出す地下茎
標準和名 ガシャモク 学名 Potamogeton dentatus Hagstr. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧IA類(CR)

 もはや野生絶滅もしくは寸前の種であり、掛け値なしの希少植物。有名な自生地であった印旛沼、手賀沼には影もなく、偶然発芽した株を施設で維持しているのみとなってしまった。北九州で唯一自生する池があるそうだ。希少植物としては典型的な「オオクワガタ型」で、野生で滅多に見られない割に愛好家の間では盛んに流通している。この意味では絶滅の危険は差し迫っていない、と言えるだろう。
 ササバモに似ているが葉柄・葉形が短く葉幅がある。また浮葉を形成することは無い。和名の由来は昔、緑肥とするほど繁殖したものを刈り取る器具の発する音を名前にした、という説がある。

 レッドデータのランクから受ける印象に反し意外と強い種で育成下でも盛んに増殖する。普通の育成環境(水草水槽や底泥を攪拌する生物がいない睡蓮鉢)であればpHや導電率を気にする必要は無い。

(P)2007年10月 茨城県(自宅育成)
2014年7月 茨城県(自宅育成) 同左 インバモ(左)との対比
標準和名 コバノヒルムシロ 学名 Potamogeton cristatus Regel et Maack 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU)

 霞ヶ浦・利根川水系では現在確認されていない希少なヒルムシロ科植物。茨城県自然博物館収蔵の標本は水戸市の採集となっているが、1961年の標本であり現地には現存しない。県南部には石岡市山王川に記録があり、自分で広範に調査したがホソバミズヒキモとヤナギモしか確認できず、おそらく誤認であると思われる。
 植物体はホソバミズヒキモに酷似し、同定には詳細な観察が必要となる。確実なのは果実の形状で、ホソバミズヒキモは突起が著しくなく、コバノヒルムシロは花柱(嘴)が長く(下画像右) 、背稜には鶏のとさか状の不規則な突起が目立つ。兵庫県産の殖芽と果実を頂いたが発芽を確認できたのは殖芽のみであり、ヒルムシロ同様に果実は発芽率が低いか不稔である確率が高いようだ。また実物は確認できていないがムカゴも形成し、増殖するらしい。

 国内の分布は本州以西とされるが、北海道でも発見の記録があり全国に分布するようだ。しかし自生地は極端に少なく、標記の通りの絶滅危惧種ランクとなっている。

(P)2012年8月 茨城県(自宅育成) fig.A
fig.B fig.C
fig.D fig.E
fig.F fig.G

fig.A 沈水葉 イトモやホソバミズヒキモに酷似する 2012年8月
fig.B 殖芽 殖芽の形状もヤナギモ等他種ヒルムシロ科に似る 2011年10月
fig.C 果実 解説文にあるように花柱が長く、不規則な突起がある 2011年10月
fig.D 浮葉 ホソバミズヒキモは生育条件により必ずしも形成しないが、本種は確実に形成するようだ 2012年10月
fig.E 形成されつつある果実 2012年10月
fig.F 全草のイメージ 2012年10月
fig.G 浮葉と形成された果実。浮葉はその名の通り小さく、ヒルムシロの半分以下の大きさである 2013年6月
fig.H 花穂と成長点。花穂も小さくヒルムシロよりもヤナギモやセンニンモに近い 2013年6月
fig.H
標準和名 ササバモ 学名 Potamogeton malaianus Miq. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 河川湖沼や水路に自生する沈水、浮葉、湿地植物。葉は長い葉柄を持った細長いものが互生する。沈水葉は狭被針形のものが約20cm程度になるが、浮葉や気中葉はやや短く10cm程度のものが多い。葉縁には微小な鋸歯がある。多くのヒルムシロ科植物同様に冬季は殖芽(地下茎先端近くに形成)により越冬する。

 水量のある河川湖沼では沈水葉を主とし、浅水域では浮葉、湿地では気中葉と、環境に合わせた生態をとるが、画像や動画で見られるように沈水葉のみで生育可能な環境でもしばしば浮葉や気中葉を形成する姿が見られる。流水中では著しく伸長し、下動画のものは3m以上あった。
 本種はヒルムシロ科交雑種のいくつかの母種となっており、ガシャモクとの交雑種インバモ、ヒロハノエビモとの交雑種オオササエビモなどが知られている。本種は当水系ではやや残存が多く、霞ヶ浦や印旛沼周辺の水路で見ることが出来る。

(P)2011年7月 茨城県
2011年7月 茨城県 同左

動画 2011年7月 栃木県
標準和名 センニンモ 学名 Potamogeton maackianus A. Bennett 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 全国に見られるヒルムシロ科の沈水植物。以前は霞ヶ浦水系でも普通種であったが、多くの沈水植物同様次々と絶えてしまい、現在ではなかなか見ることができない。多くのヒルムシロ科と同様に実生はあまり見られず、増殖は地下茎による場合が多い。地下茎一節飛びに水中茎が伸びるが節間があまり伸張しないので密度高く生えているように見える。よく分岐し、ヤナギモやホソバミズヒキモに似た細い葉を互生する。冬季は生長をやめ不完全ながら殖芽を形成する。草体は枯死せずに残存し、春に伸長を始める。
 
 細葉系ヒルムシロ科は同定が難しいが、本種は葉先が凸状となり特徴的なので容易に判別できる。(下右画像参照)この特徴はヤナギモ、ホソバミズヒキモ、コバノヒルムシロ、ツツイトモ、イトモなどには見られない。同属多種と交雑し、ヒロハノセンニンモ、サンネンモなどの種間雑種を生じる。当水域には見られないが琵琶湖によく産する。

(P)2006年9月 茨城県(自宅育成)
2013年5月 茨城県(自宅育成)
花序。白い花粉が見える。風媒花である。
同左
凸状となる葉先。ユニークな形状で同定ポイントとなる。
標準和名 ツツイトモ 学名 Potamogeton pusillus L. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:絶滅危惧U類(VU)

 希少なヒルムシロ科多年草。外見的にはイトモやヤナギモに似るが、葉の付根の托葉が筒状になることから命名された。水上から観察するだけでは気が付かないので、残存がありつつも発見されないだけではないか、という意見もある。個人的にはそうは思わないが。
 画像は平成13年5月に横芝光町の栗山川を河川改修したところ撹乱によって休眠種子が発芽したものを同町坂田池公園に移植、保存しているものである。水が綺麗な環境でないと生育出来ない種であり、発生した栗山川流域ではすでに見ることが出来ないらしい。

 おそらく自生をマッピングすれば日本地図に数箇所の点が付く程度だと思うが、残念なことにそれらも実態が良く分からない場所が多い、という。この横芝光町の保全環境も水質の点で多くの問題を抱えており、種の存続には更なる配慮が必要だと思われる。ガシャモクとともに最も絶滅に近いヒルムシロ科植物である。

(P)2009年8月 千葉県
標準和名 ヒルムシロ 学名 Potamogeton distinctus. Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 ご覧の通り野外では浮葉が常態であるが、発芽直後は葉緑素を欠いた薄紅色の沈水葉で生育する。繁殖力が強く、水鉢に一株植栽すると1シーズンで水面を埋め尽くす程の浮葉を形成し、他種を圧倒する。花は風媒花のため非常に地味。
 特徴的なのは越冬芽で、地下茎に形成するが鶏の足のような非常に印象的な形状である。種子も結実させるが、発芽率は異常に低く、一説には2%と言われている。事実長年育成しているが実生株は確認出来ていない。越冬芽の発芽期のエネルギー調達も変わっており、一般的な植物の酸素呼吸とは異なりアルコール発酵が手段となっている。これが水田の酸化と還元のサイクルと合っていたようで、以前は水田の強害草として知られていた。反面農薬には弱いようで現在では水田で見ることはなかなかできない。

(P)2007年8月 茨城県
2003年6月 茨城県(自宅育成)
花序。風媒花である。
2002年10月 茨城県(自宅育成)
独特の形状の殖芽
【沈水葉 加温水槽内 2002年6月】

ササバモやインバモに似た、透明感のある沈水葉を展開する。すぐに浮葉を出すのでアクアリウムプランツとしては短期間しか楽しめないが、他種にはない雰囲気の水草だ。
沈水葉は自然下はもちろん、水深の浅い屋外水連鉢や水槽内でも見ることができる。この段階(浮葉を展開する前)では光合成エネルギーを必要としないためか、葉色は葉緑素の抜けた薄い紅色〜白である。
2002年6月 茨城県(自宅育成)
水槽内で伸長する沈水葉

2019年7月 茨城県 水の引いた水路で陸生型となる


2019年7月 茨城県
標準和名 ヒロハノエビモ 学名 Potamogeton perfoliatus Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 資料上に分布があり自生地には分布が無い代表的な水草。琵琶湖では流藻となって打ち寄せられる程自生しているようだが、霞ヶ浦水系では非常に稀にしか見かけた事が無い。尤も汚染に強いと言われるササバモの自生も限られている状況なので不思議は無いが。
 透き通る葉が美しく、稀に熱帯魚ショップでも観賞用水草として扱われることがある。環境に馴染むと地下茎で続々と新芽を出し無性生殖を行なう。発芽が予測できないのでレイアウト水槽には向かない。無理にトリミングを行なうと枯れるという気難しさもある。ヒルムシロ科の常なのか屋外育成でも経験上実生は確認したことがない。
 ヒロハノ、と名乗るが実際には平野型のエビモの方が草体も葉も大型である。地域変種による形態上の差異も多いと言われるが未確認。

 ヒルムシロ科交雑種何種類かの母種となっており、ヒロハノセンニンモなど本種の形質を色濃く受け継いだ種も存在する。

(P)2006年2月 茨城県(自宅育成)
標準和名 フトヒルムシロ 学名 Potamogeton Fryeri A.Bennett 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 数あるヒルムシロ属のなかで特殊な位置を占める草。特殊な位置とは酸性環境でのみ自生する特殊なシステムを持つと思われる点である。山間の腐食酸性の沼など、他の水草があまり無いような場所に自生している。
 酸性下に於いては浸食性遊離炭酸が多く存在する事実が知られているが、中性付近に多い従属性遊離炭酸が利用出来ない光合成システムを持っているのかも知れない。
 育成は屋外、水槽とも難しく、いつの間にか枯死してしまう事が多い。草体や花穂の形状はヒルムシロと同じであり、種の違いにこだわりを持つ方は別として「やはり野に置け」と考えている。

 画像は福島県五色沼の毘沙門沼であるが(動植物採集は禁止)、この沼のpHは5である。他にはフサモが少し見られたのみで、他の水草にとっては特殊な環境である。

(P)2003年8月 福島県
2003年8月 福島県 自生地、五色沼毘沙門池 同左
標準和名 ホソバミズヒキモ 学名 Potamogeton octandrum Poiret 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 沈水葉と浮葉を出す小型のヒルムシロ科多年生草本。沈水葉のみの場合イトモ(Potamogeton berchtoldii Fieber)との判別が困難である。(画像中央に浮葉)
 本種学名はPotamogeton octandrus var. octandrus.とされる場合があり、アクアリウムでは「ポタモゲトン・オクタンドラス」の名で流通することがあるが、本図鑑では標準とさせて頂くoNLINE植物図鑑に記載された学名を採用している。
 アクアリウムで流通するが、普通の水草水槽で簡単に育成できるような代物ではない。イトモ以上に難しく有機肥料、光量、二酸化炭素など高次元で供給しなければ長持ちしない。二価鉄だのカリだの寝ぼけた事に管理手法が行ってしまった水槽では絶望的である。

 イトモに比べて残存はあるが、これは浮葉による光合成が可能であるために、生活排水等による導電率上昇にモロに影響を受けるイトモとは生き残る確率が大きく異なるためと思われる。

(P)2008年8月 茨城県
2008年8月 茨城県 同左
標準和名 ヤナギモ 学名 Potamogeton oxyphyllus Miq. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 細葉で小型のヒルムシロ科植物。同科他種に比べればエビモとともにやや広い自生が残存する、ヒルムシロ科としては一般的な水草である。小型で汚泥やゴミにまみれると発見しにくいが、霞ヶ浦近辺の小河川でも相当残っている。
 近似種のセンニンモとの同定ポイントはセンニンモがやや葉幅が広いこと、葉の先端に凸型の突起があることで、見分けは容易。両種とも浮葉は形成しない。アクアリウム・プランツの「ポタモゲトン・ガイー」に非常に近似しており見分けが付かない。一説にはヤナギモの方が葉幅が狭いと言われるが、これも生育条件次第のような気もする。

 山梨県ではコンクリートの側溝に溜まった僅かな土に生えているのを見たことがあるが、非常にしぶとく強い植物であるのかも知れない。

(P)2005年1月 茨城県(自宅育成)

2010年7月 東京都 自生地の状況
標準和名 リュウノヒゲモ 学名 Potamogeton pectinatus Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:準絶滅危惧(NT)

 細葉のヒルムシロ科植物。北関東でしばしば混生するホソバミズヒキモとの同定ポイントは本種が浮葉を出さないこと、根塊が釣針型をしていることである。(下画像、根塊)根茎から出る茎は枝分かれし、幅1mm以下の線形の葉が付く。葉の基部には葉鞘を持つ。茎も葉も構造が似通っており、特に区別されない場合もある。葉は全縁、鋸歯は見られない。
 本来カワツルモなどと共に汽水域の水草とされるが、霞ヶ浦は常陸川水門閉鎖以前は汽水湖であり、内陸側の周辺水路にも残存が見られる。水路では淡水の沈水植物であるエビモやササバモと混生している。霞ヶ浦本湖でも突発的に復活の話を聞くことがあるが、水質等の問題で定着はできないようだ。

 現時点で環境省レッドリスト2012では準絶滅危惧(NT)とされているが、当水系でも見られる場所はそう多くなく、全国的にも減少傾向にある。

(P)2003年6月 茨城県
2011年7月 茨城県 同左
2011年7月 茨城県 根塊(殖芽) 同左
inserted by FC2 system