日本の水生植物 水生植物図譜
フウロウソウ科 Geraniaceae
(APGW:フウロウソウ科 Geraniaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2017準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGW分類 併記
genus search
フウロウソウ属
フウロウソウ属 Geranium
標準和名 アサマフウロ 学名 Geranium soboliferum var.hakusanense 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2017:準絶滅危惧(NT)

 高原の湿地に自生する多年草。径3〜4cmの濃い紅紫色の花を夏に咲かせる。フウロウソウ属では最も大型の花である。中部地方に分布、海外では朝鮮半島、中国東北部に分布する。和名は自生地の一つである長野県浅間山に因む。

 草丈50〜80cmと大型になり全体に繊毛がある。さらに花弁の基部には白色の軟毛が密生する。葉は掌状に深裂し、裂片がさらに深裂する複雑な形状となる。(下画像)
 本来の自生地である中部地方を中心とした高原は国定公園や国立公園などが多いが、保護地域でも個体数は減少しており、本種をわりと見かける事が多い日光周辺を抱える栃木県でも絶滅危惧種となっている。

(P)2017年9月 栃木県(日光植物園)
2017年9月 栃木県(日光植物園) 同左 複雑な葉の形状
標準和名 アメリカフウロ 学名 Geranium carolinianum L. 生活型 一年草 自生環境 湿地
外来生物:外来生物法指定なし

 湿地周辺、荒地や道端など広範に分布する北アメリカ原産の帰化植物。茎は斜行しながら伸長し、葉は深く5〜7裂し、さらに裂片が分裂して複雑な形状となる。ゲンノショウコに比べると茎の繊毛が細く、 種子には隆起した網目状のパターンが入るのが特徴。花は紫がかった淡紅白色、花期は5〜9月。
 本種は昭和初期から記録が見られる古参の帰化植物で、現在では本州以南で普遍的な雑草となっている。当水系では乾地、湿地を問わず広範に自生し、湿地に於いては河川敷氾濫原や霞ヶ浦湖畔湿地などでよく見かける。

 増殖は活発で、果実が熟すと裂開し、カタバミやツリフネソウのように種子を弾き飛ばして版図を広げる。荒地などではこの植物がよく群落になっている。ゲンノショウコと似ているが、アメリカフウロには薬効はない、とされている。

(P)2010年5月 千葉県 手賀沼湖畔
2015年5月 茨城県 早い時期から紅葉することがある 同左

2015年5月 東京都
標準和名 ゲンノショウコ 学名 Geranium nepalense ssp. thunbergii. 生活型 多年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2017:記載なし

 通常乾地に自生するが、休耕田や湿地周辺にも入り込むフウロウソウ科の植物。同科で帰化植物のアメリカフウロは水辺環境により多く入り込む。科として湿地に適応した能力を身に付けているのではないだろうか。
 和名はゲンノショウコ=現の証拠、で生薬の一種であって”現実に効く証拠”から来ている。薬効は下痢、便秘、冷え症など。昔から健胃整腸剤として用いられていたようだ。中国では古い時代から知られており、明の時代に書かれた「救荒本草」(周定王撰、全2巻、1406年刊)に効能が示されている。
 同属植物にはアサマフウロやハクサンフウロなど高地性のものがほとんどで、帰化種を除けば平地性のものは本種だけであり古い時代に渡来した植物である可能性も考えられる。

 花色には白、紅、ピンクがあるが、東日本では白花が多い。5弁で萼片は5、雄蕊は10。花色の差異によって特に種としての区別はない。茎は大部分が地を這って、草全体に毛が生える。葉は倒卵形で柄が長く対生、掌状に3〜5に深裂し鋸歯がある。

(P)2009年9月 千葉県
2009年8月 茨城県 2015年8月 茨城県

2015年8月 茨城県
inserted by FC2 system