日本の水生植物 水生植物図譜
アワゴケ科 Callitrichaceae
(APGV:オオバコ科 Plantaginaceae
絶滅危惧種表示:環境省レッドリスト2017準拠
外来生物表示:外来生物法第八次指定
植物分類:APGW分類 併記
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アワゴケ属
アワゴケ属 Callitriche
標準和名 アワゴケ 学名 Callitriche japonica Engelm. 生活型 一年草 自生環境 湿地
環境省レッドリスト2015:記載なし

 湿地や多少湿り気のある場所に生育する非常に小型の一年草。茎は分枝しながら地表を這う。葉は長さ5mm以内、葉柄は1mm以内とごく小さい。一見して水田に生えるミゾハコベ(ミゾハコベ科)のようにも見える。和名由来は湿気の多い場所(時には水中)で葉形がバブルのような形に見えることから来ている。

 画像の株は植えた覚えがないが、隣に見えるヒロハイヌノヒゲとともに自宅の湿地植物育成環境に生えてきたもの。雨水によって度々冠水するが、アワゴケは沈水状態でも生育可能であり水草に近い植物生理を持っている。

(P)2013年8月 茨城県(自宅育成)

2013年8月 茨城県(自宅育成)

同左
標準和名 イケノミズハコベ 学名 Callitriche stagnalis Scop. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
外来生物:生態系被害防止外来種(重点対策外来種)

 ヨーロッパ原産のミズハコベ。1990年代に山梨県のクレソン畑に出現し新種の帰化種として認識された。クレソンの苗に付着してきたという状況証拠はあるが詳しい侵入経緯は不明。
 植物体としてのミズハコベとの外見上の相違は、より大型で占有面積も大きな点、沈水葉が線型にならず浮葉と似た幅広の楕円形である点があげられる。

 関東地方には幅広く帰化定着していると言われているが、平野部ではあまり見ない。本稿の画像は富士山の湧水である静岡県三島市の河川で撮影したもの。ミシマバイカモを撮影に行ったため当初は気が付かなかったが、大型であることと沈水葉が線形ではないことで気が付いた。関東では他に栃木県の山間部などで定着を確認している。

(P)2019年5月 静岡県

2019年5月 静岡県

2019年5月 静岡県
標準和名 ミズハコベ 学名 Callitriche palustris Linn. 生活型 多年草 自生環境 湖沼
環境省レッドリスト2015:記載なし

 主に水路や小河川に自生する沈水・浮葉・湿生植物。水中では線型、先端にやや凹みが見られる沈水葉を形成し、浮葉、気中葉は広倒卵形になる。気中葉は浮葉より少し大きい。葉は対生し、葉脇に花を1つずつ咲かせるが非常に微小なものである。雌雄異花であるが、水中でも受粉可能なのか沈水状態でも結実する。
 水温の安定した湧水河川では沈水葉のみ、水深の浅い一般河川では浮葉のみといった草姿が見られるが、前者は完全な沈水植物、後者は浮草のようなイメージで、完全な別種の植物に見える。環境にあわせた草姿に変化できる植物である。

 一般的には湧水環境で見ることが多いが、茨城県南部〜栃木県にかけては農業用水路や水田内で見ることもある。右画像は水田に入り込んだ姿で、ヒロハトリゲモやシャジクモなどと混生していた。利根川流域では徐々に減少しており、取手市内でも以前見られた水路ではミクリ等と共に姿が見られなくなった。

(P)2011年9月 栃木県

浮葉になりつつある

細い沈水葉

水の干上がった水路で陸生

同左

2015年6月 東京都 河川に浮葉となって自生
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