日本の水生植物 探査記録

Vol.184 下野のトウサワトラノオ



Location 栃木県下野市 Date 2019.05.11(SAT)
Photograph
Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM
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Weather sunny

Temperature 27℃

(C)2019 半夏堂


■宿題のトウサワトラノオ


(P)トウサワトラノオの花畑・・ここに来た人間だけが見られる贅沢な光景
Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM

下野市・・?
■やっと踏ん切り

 隣県、栃木県にありながら今まで見た事がなかったトウサワトラノオ。日本で愛知県とここ栃木県、たった2箇所しかない自生地を見ていなかったのは場所がイマイチだからである。ここではトウサワトラノオ以外に見るべきモノがない。植物はもちろんだが、往復の道中ほぼ農業地帯であり、最近辺鄙な場所にも出没するようになった外国人観光客も見当たらない。

 それ以前の話として失礼ながら「下野市」なる市の場所をよく知らなかった。近年の町村合併で出来た市注1)だが、栃木県で知っている宇都宮とか小山、佐野、日光、栃木などは一切からんでいない。あまり聞いたことがない町同士の合併でできた市なので場所のイメージがわかなかった。もちろん地図で調べれば分かるが、上記のように積極的に動く気にはなれなかったのでそのままだった、というのが本音。
 一方、本サイトの水生植物図譜に掲載しているトウサワトラノオの画像は長年栃木県の吉永様にお借りしたままになっており、そろそろ自分で何とかしなきゃいかん、てな事も連休中に少し考えていた。


(P)折から満開だったトウサワトラノオ Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM


 場所がイマイチと言いながらも、思い起こせば「不便注2)」と知りつつシモツケコウホネはすでに2回も見に行っている。栃木関連では佐野や栃木市の外れまでナガレコウホネも見に行った。どちらも首都圏の一般的な感覚から言えば「不便」なんてものではない。最寄りの駅には日中、1時間に1本しか電車が来ない。駅から自生地まではそこそこの距離を歩かなければならない。疲れても雨が降っても休憩場所は皆無。しかし名前だけとは言え「探査」と名乗るからにはそんなことで泣き言を言ってはおれない。ここまで来たらせめて隣県の希少植物ぐらい全部見たいじゃないか。
 後で計算してみると、自宅からトウサワトラノオの自生地まで道中は約65km(今回の移動は車)、つまり往復130km車で走って30m四方の休耕田を見るだけ、という解釈もできるだろう。それが価値あることか、と言われると苦しいが、考えてみればこの探査記録はVol.1から今回のVol.184まですべてにその疑問が付随する。海外編5編も加えればもう地球一周ぐらいしているかも知れん。こんなことで地球一周する価値があるのか、となるともう笑うしかないかも知れない。

 年齢を重ねると、若いころは「楽しい」だけで直線的に行動できたのが、徐々にそうも行かなくなってくる。他にやるべき事があるとか、そういう類の話ではない。最近の仕事ではターミナルケア注3)にも多少関わっており、はっきり言えば「生きているだけ」の患者さんを見る機会も多い。残された時間、というのは嫌な言い方だが言い方を換えれば健康寿命、そいつがいつまで続くのか誰にも分からない状況で、何をしていても「こんなことで良いのか?」という思いが常につきまとう。一方、だからこそ動けるうちにやりたいことをやる、という考え方もあるだろう。そうこうしているうちに何ら成すことなく馬齢を重ねるのが一般的な姿、ということも理解している。どちらにしても微妙な年代であることは間違いない。

■満開の花畑

 最近、ろくに開花状況も知らずに行っても目的の植物が開花しているという幸運な状況が続いていたが、今回は他に目的もないし、せめて行く前に多少の情報ぐらいは仕入れておこうと「下野 トウサワトラノオ」で検索してみた。すると早速「絶滅危惧種トウサワトラノオが開花しました」という下野市のサイトがヒットした。しかし読んでみるとこれは平成27年5月7日の記事である。不思議なこともあったものだ。少しネット上で追ってみたが、以降の情報は見当たらない。念のため下野市のサイトを調べ、「広報しもつけ」のPDFもざっと見たがそれらしき情報は見当たらない。よもや現在は消滅しているのではないか、と嫌な予感も少し脳裏をよぎった。
 余談ながら、このサイトのような個人の気まぐれ情報発信サイトと異なり、行政のサイトは最新情報を発信する義務があると思う。域内住民のため、また町の活性化のために税金を使って運営しているからだ。私は域内住民ではないが、当地に来て見学するつもりの人間だ。微々たるものかも知れないが、来る人間が増えれば町の活性化に繋がるのではないか。やるならやる、また盗掘などの問題であえて意図的に情報を発信しないのであれば全部消す、こちらは情報だけが頼りなのだからしっかり対応して欲しい。

 しかし現場に到着してみると嫌な予感はまったくの杞憂であった。ランドマークに設定した橋を渡ると眼下に白い花畑が見え、さらに県道から自生地に入る脇道の入口には「トウサワトラノオ群生地」という看板もあった。開花期は年によってばらつきがあるようだが、情報のないままの飛び込み訪問でもあたり一面満開であった。この「いきなり行っても満開」の、昨年のコウホネ関連の訪問から続いている幸運は継続中のようだ。道に迷わなかったことに加えて二度目のラッキーである。


【トウサワトラノオ満開の花畑】
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Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM

既視感
■フラッシュバック

 満開の花畑に感激し写真を撮っていると、どこからともなく一人のおばさんが現れた。(まさに「どこからともなく」だ)挨拶や今年の開花状況など当たり障りのない会話をさせて頂いたが、この状況、つまり「どこからともなく人が現れる」「私が何をしているか、意味のない会話をしつつさりげなく探る」は、日光のシモツケコウホネの自生地でも経験したことを思い出した。

 これは早い話、おそらく地元自治会による監視だろう。シモツケコウホネも盗掘するアホ注4)がいたが、トウサワトラノオが希少で国内2箇所しか自生しない、と来ればネットオークションでのキャッチコピーは決まったも同然、ここにも盗人やアホが来る可能性は十分あり(もう被害が出ているかも知れない)、その対策としての見回り、見学者がいれば怪しい奴かどうか探る、という自衛の手段なのだろう。盗っ人と判断すれば待機しているであろう屈強な猛者が駆け付ける段取りである。


(P)木道をパトロールする地元の方 Canon EOS6D / EF-70-200 F4L IS USM


 シモツケコウホネもトウサワトラノオも自生地は農村地帯の真ん中、最近では地図もなかなかネット上に落ちていないので来るのは大変だが、金に魅入られた連中はどこにでも現れる。奴らは馬鹿だが、その嗅覚は馬鹿に出来ない。私も居住地の町内会に入っているが、仮にエリア内にこういう希少植物の自生地があって自治会で何とかしなければならない(下野市の場合は行政のバックアップもあるようだが)、となったら本当に大変だと思う。自生地を常時見張り、知らない人が来ればさりげなく確認し盗掘を防止する。考えてみれば何て不毛な作業なんだろう。何ら生産性がない。町内会一斉の空き缶拾いの方がまだ「生活空間の美化」という意義がある。こうして盗掘の防止を目的に活動しても現状維持以上のものがもたらされる事はない。
 この町内会でも「今日は折本さんね」「明日用事があるから久下田さん代わってください」なんてやりとりがあるんだろう。(人名は途中の真岡鉄道の駅名から。実在の人物ではない)普通に生活するだけも雑事が押し寄せるのにプラスアルファでこんな事もしなければならない。結果的に一部の心無い人間の行為が地元住民にこういう余計な負荷まで押し付けているのだ。荒らす人間、盗む人間はこんなことを考えたこともないだろう。

 こういう目(さりげなく探られる)にあうと自分自身後暗いことはなくても何となくすっきりしない。痛くもない腹を探られる、という点でもちろん多少なりとも不快に感じたが、それは監視している地元の方に対してのものではなく、こういう状況を作っている盗っ人に対してのものだ。いっそのこと主要エリアを金網で囲って立入り禁止にしてもよいのではないか。何なら金網に電流流してもよいかも。畑を荒らす猪や猿だって生きるためにしていること。それでも金網に電流を見舞われるわけで、ふざけた奴らにはこれ以上のモノを喰らわしても良いと思う。
 写真撮影には制限が出るが、地元の好意でこうして木道まで設置して頂いているのに、それを踏みにじるるような真似をする人間がいるのなら仕方がない。もう一度言うが、不快なのは倫理観のない猪や猿以下の盗っ人に対してである。

■トワイライトゾーン

 前述したようにトウサワトラノオがあるのは木道が設置された休耕田一枚であり、濃淡はありつつもほぼ全域に繁茂していた。やっと見つけた地図では画像右手に道路を挟んだもう一枚の休耕田も「自生地」とあったが、そちらには何もなく湛水注5)もされていないようだった。

 トウサワトラノオが自生する休耕田にはこの時期の水田にありがちな植物が他にも繁茂しており、開花していたのはウマノアシガタ、トキワハゼ、スズメノテッポウなど。つまりこの時期のごく普通の休耕田であるが、なぜここだけにトウサワトラノオがあるのか?その理由は誰にも分からないが、栃木市、佐野市、日光市、下野市を含むごく狭いゾーンにこのトウサワトラノオを含め、シモツケコウホネ、ナガレコウホネ、そして渡良瀬遊水地特有の植物達注6)などがひしめいている。ある意味、植生の特異地帯ということができるだろう。しかしその実態はどこも普通の田舎である。
 自分の居住地付近も他の地域から見ればホソバイヌタデ、ミゾコウジュ、ヒメタデなど、なかなか見られない植物が普遍的にあるが、ここに来ないと見られない、という程のものではない。こういうトワイライトゾーンが近場にあればさぞかし楽しいだろう。


(P)綺麗に整備された自生地 SONY DSC-WX500


 ついでながら。国道4号線を北上すると多少の位置的な「ずれ」は許容するものとして、越谷(*コシガヤホシクサ、キタミソウ)、上尾(サワトラノオ)、佐野(ナガレコウホネ)、栃木(ナガレコウホネ)、日光(シモツケコウホネ)、下野(トウサワトラノオ)、白河(ビャッコイ)と埼玉県から福島県にかけて、ここだけの植物、日本国内で数カ所の植物の自生地が直線状に並んでいる。渡良瀬遊水地(加須市、古河市、群馬県邑楽郡板倉町、栃木市)も含めれば希少種がまさに鈴なりに連なっている地域である。具体的な記録は見つからないがこの地域で以前に消滅したものも多かったに違いない。(*印はすでに自生地から消滅)
 上記栃木県の「トワイライトゾーン」はこの200km弱に及ぶ希少種ロードの中核地域でもある。地理的に見れば、関東西北部の山地から沖積平野が始まる地域であり、湧水量の豊富さ、土壌の栄養分、寒暖差などの条件は上げることができる。しかしその程度の条件であれば他の地域にもいくらでもあるだろうし、誰でも考え付く後付の理由でもある。この植物好きにとってのゾーンがなぜ存在するのか、という合理的な説明は不可能だ。

 一方、横軸方面では手賀沼、霞ヶ浦(北浦、外浪逆浦、横利根川など含む)、印旛沼と水質悪化の上位ランキング常連の湖沼が利根川沿いに連なっている。このルートはなかなか目ぼしい植物を見ることができないラインで、逆トワイライトゾーン、いわばダークゾーンとなっている。こう考えると関東地方には縦軸と横軸、植生分布の観点から全く性格の異なる縦横ラインが存在することになり、なかなか興味深い。だからどうした、という類の話ではないが。

カントリーロード
■真岡鉄道沿線

 実際に自生地に行ってみるまでは国道4号線からのアクセスを想定していて「やけに遠いなぁ」と思っていたが、裏道にあたる国道294号線を使い、久下田(栃木県真岡市)から下野方向に向かえば自宅から最短距離で行けるルートに思い当たった。しかも国道294号線常総バイパス注7)は40km程の区間、あまり信号に引っ掛からず相当の速度で流れているので時間も短縮できる。

 かなり昔の話になるが、子供が小さい頃、家族を下館駅から真岡鉄道のSL列車に乗せ、自分は車で先行して途中の鉄橋で車窓から顔を出した家族の写真を撮る、という野心的な試みを行い(チープなレンズしか持っていなかったので見事に失敗)、ついでに益子焼を見物に行ったことがあった。その頃に芳賀地方注8)を通った記憶がかすかに残っていた。

 294号線は起点注9)である取手市内の住宅地を抜ければ栃木県に入るまで片側2車線であり、しかもほぼ直線という、いわゆる「3ケタ国道」のしょぼいイメージに反する立派な道路だ。今では茨城県内で谷和原(常磐道)、常総(圏央道)と2カ所の高速道路インターもあって利便性も良くなった。


(P)途中の道の駅の二宮金次郎像 SONY DSC-WX500


 なぜこのルートに思い至らなかったのかと言うと国道4号との交差がはるか北方で、途中で東西に抜けるルートは以前に何回も迷っていてあまり走りたくなかったからだ。自分の間抜けぶりを晒すようだが、途中の国道重複区間でベクトルの違う行先(例えば宇都宮、益子など)があるとすぐに間違ってしまう。国道分岐で目的地と異なる車線に入り込んでしまうなど日常茶飯事。方向音痴ではないが得意不得意で言えば、最短距離で目的地まで運転するのは不得意だ。普通の感覚で言えばカーナビを使えば良いが、このルート沿いには新しい道路が多く、自分の車の古いデータが搭載されたナビでは事実上役に立たない。もちろん上記の常総インターや圏央道は表示されず、地図上は広大な水田が広がっているだけである。データを新しくしたい、という申請は何度も提出しているがすべて却下、野生の勘を磨くしかない現状なのだ。

■二宮金次郎

 国道294号線は茨城県内では関東鉄道常総線、茨城県筑西市から栃木県にかけて真岡鉄道と並走するが、真岡鉄道の久下田あたりに来た時に、叔母がこのあたりに住んでいることを思い出した。2年前の父の葬儀の際に10数年ぶりに会ったが、当然ながらお互い年齢を重ねており時間の経過を再認識させられた。一瞬久しぶりに寄って行こうか、と思ったが何も連絡しておらず、アポなしで行っても迷惑かなと思いスルーした。このあたりの田舎の人間は世知辛いが、一方、客人のもてなしに不備があると恥じるのである。概ね豪勢な接待が普通で「何もありませんが」は単なる枕詞、これで何もないならうちは餓死寸前だ、というぐらいに色々ともてなし、帰る際には土産(概ね自家産の農産物)を持たせるのが普通。こういう文化があるので、単に「たまたま寄ってみた」はNGなのだ。

 そんなわけで帰りには少し時間があったので「道の駅二宮」で小休止。入口に二宮金次郎の立派な銅像(画像)があったが、はて二宮金次郎はたしか小田原あたりの出身ではなかったか、と思い解説を読んでみると「ゆかりの地」とある。どういう「ゆかり」なのか後で調べてみたところ、このあたりは江戸時代小田原藩の分家の領地になっており、晩年に領地内の立て直しで居住していたことがある程度の話のようだ。(ゆかりと言えばゆかりだが)それで「二宮町」なわけだが、出身地近くの湘南にも「二宮町」があり、複数の地名に用いられるほどの立派な人間だったことが伺われる。

 二宮金次郎の銅像は日本全国版で押したように薪を背負いながら本を読む、という姿だが今で言う「マルチジョブ」あるいは「ダブルワーク」。見習いたいものだ、と言いたいところだが現代は真面目に歩道を歩いていても車が突っ込んでくる時代注10)、むしろ「絶対に真似してはいけない行為」にカテゴリーされてしまう。ながらスマホも内容がゲームやSNSではなく、通信教育の類であれば現代版二宮金次郎だろう。
 考えるに通勤電車内でもPCで仕事をするサラリーマン、ダブルワークで生計を立てるシングルマザーなど身近にいくらでもマルチジョブをこなす方々は存在する。昔で言えばこの姿なわけで、これが事実かどうかは不明だが、この銅像が象徴する二宮金次郎の精神は脈々と受け継がれているのだな、と思われた。

脚注

(*1) 下野市は平成18年(2006年)に河内郡南河内町、下都賀郡石橋町、同郡国分寺町が合併して出来た市である。元の町名を市の名前にしても私のようなよそ者にはピンと来ないが(3つの町には今まで行ったことがない)、新たな名称はさらにピンと来ない。本文のように自分の車のナビは古いので新しい地名には無力。以前の車のものはさらに古く、千葉県では匝瑳市、山武市などが出てこなかった。成東・東金食虫植物群落など、九十九里方面に車で行く際にはよく困っていたことを思い出した。「約100mで左折です。コンビニが目印です」・・いやっ、コンビニなんて影も形もねえし。

(*2) 私のように特急料金が払えない、払いたくない人間にとっては不便極まりない。文章でいくら書いても伝わらないと思うので、我と思わん方はぜひ一度北千住から特急を使わずに乗り継いで日光まで行ってみて欲しい。さらにシモツケコウホネ自生地最寄りの駅に降り立てば、駅は無人駅、駅前にはコンビニの1件もなく、さすがにこの状態を「便利」とは誰も言わないだろう。便利ではない状態を我が国では不便という。

(*3) 終末期医療のこと。病気等で余命わずかになった方に施す医療的ケアのこと。類義語に「看取りケア」「緩和ケア」「ホスピスケア」があるが、余命わずかになった人のケアをするという意味では同じだが、概念的に僅かな相違がある。医療用語をこれ以上解説しても仕方がないのでこの辺にするが、治療という概念を一歩踏み出した話であり、自分も久しぶりに医療業界に復帰して初めて現場を見て衝撃を受けた。意識がない、自分の意思を示せない、だけど延命する、これが正しいのかどうか自分でもよく分からない。

(*4) このサイトの記事、Featureシモツケコウホネ探査記録Vol.177 世界遺産方面出動 シモツケコウホネ編で触れている通り、シモツケコウホネの採集を自慢げに示唆したアクアリウムショップが存在する。こういうのはアホなのか倫理観が欠如しているのか、どちらかであると断定せざるを得ない。この手の馬鹿の行動が地元住民や一般見学者にどれだけ迷惑をかけているのか考えて欲しい。(考えられないから馬鹿、という話もあるが)

(*5) 自生地休耕田には湛水されており、用水路からわざわざ導水してあった。画像奥に見える堤防状の盛り上がりは県道が川を渡る橋にいたる築堤であり、この休耕田が河川の後背湿地にあることを示している。しかしわざわざ湛水している所をみると湿田ではないようだ。

(*6) 筆頭にあげられるのはワタラセツリフネソウ。渡良瀬遊水地以外、周辺地域にも自生が確認されているが特有の植物であることは間違いない。もう一種、アオヒメタデという謎の植物があり、遊水地内では普通に見られるが、その他の地域では見ない。また「アオヒメタデ」として紹介されている他の地域の植物は写真で見る限り別のものに見える。ハタケテンツキやトネハナヤスリなど希少植物の自生も加味すれば「特有の」という表現も大げさではないと思う。

(*7) 国道294号線の茨城県つくばみらい市〜茨城県筑西市にかけて約40km間のバイパス道路。現在は片側2車線が完成しており、ほぼ直線状で信号が少ないなど快適に走れる道路となっている。しかし圏央道の接続(常総市)、道の駅の新設などで若干交通量が増えたような気もする。茨城県内をずっと走っているとツインピークの筑波山の見え方が変わって行くのが楽しい。

(*8) 栃木県東南部、真岡市、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町の1市4町がある地域を指す。エリア全体が小さな町の「芳賀」を冠しているのはこの一帯が芳賀台地という低山地域に存在するからである。植物関係では真岡市や市貝町の湖沼河川、家族サービスでは茂木町の「ツインリンクもてぎ」や益子焼など何回か行っているはずだが妙に記憶から抜け落ちている。

(*9) 国道294号線の起点は正式には千葉県柏市で、柏〜取手間は国道6号との重用区間である。(重複の表示を見たことはないが、どこかにあるのかも)294号線は終点が福島県会津若松市だが、他にも南から順に408、121、123、293、400、461、4、118、49各国道路線と重複区間がある。取手市の住民の感覚で言えば6号線とT字路で分岐する交差点が「起点」であり、逆方向から走って来ても然りだ。

(*10) 2019年5月8日、滋賀県大津市で信号待ちをしていた保育園児の列に軽自動車が突っ込み、園児2人が死亡した事故、2019年4月19日に東京都豊島区東池袋で母娘2人が死亡した暴走事故などが記憶に新しい。どちらも被害者側に落度は皆無である。歩道だから安心、という時代ではなくなってしまったが、東池袋やその他の暴走事故に見られる高齢者の問題は免許制度の根幹として法整備が必要だ。しかし大津市の事故は強引な右折が原因で、俗に言う「松本走り」とされる右折優先のワケわからん運転が原因で、「馬鹿じゃねえの」と言いたいが、わが茨城県にも信号が青に変わった瞬間に急発進で右折する「茨城ダッシュ」という走り方(もちろん違法)があって他人のことは言えんな、と思った。私は小心者なのでもちろん安全第一である。


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