日本の水生植物 探査記録

Vol.181 野焼き跡歩き 菅生沼編



Location 茨城県常総市 Date 2019.04.28(SUN)
Photograph
Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM
Canon EOS KissX9 / EF-S24mm F2.8STM

Weather sunny

Temperature 19℃

(C)2019 半夏堂


■癒される風景


(P)菅生沼下流
Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM

菅生沼
■レフ機の逆襲

 ここは本当にフォトジェニックな湿地である。人工物がほとんどなく、湿地や河川、沼が織り成す自然の景観が続く。こういう場所は心が癒されるが写真や動画では分からない部分もある。それは水の臭いだ。この一帯は霞ヶ浦や手賀沼より強烈なドブ臭がする。荒川や中川が清流に思えるほどの異臭である。

 菅生沼は利根川の支流である飯沼川が常総市と坂東市の市境付近の低地で川幅が広がった地形で、沼というよりも河川だ。流域の人口はたいしたことはないが、この臭いは生活排水が未処理で流されたものだと思う。昔(昭和30〜40年代)下水処理がロクに無かった頃のドブ川のものと同じだ。せっかくの風光明媚なビジュアルなのに観光の対象としてイマイチなのはこんな所に理由があるのかも知れない。
 自分でも植物を見る、という目的において対象として設定しにくく、まともに歩くのは15年ぶりぐらい。なぜなら植生はほとんど小貝川と変化がなく、小貝川ならチャリで十分に行けるからである。


(P)上流方向のビュー Canon EOS KissX9 / EF-S24mm F2.8STM


 とは言え、このビジュアルは写真の対象としては魅力で、世間では10連休注1)に入ったばかりの好天のこの日、他にもカメラを持った方々がちらほらと歩いておられた。植生は後で見ることにし、私も風景を撮影することにした。ここ菅生沼下流は里山を流れる川幅の広い川に島が浮かび、湿地が連続する。変化に富んだ撮影対象で、写真を撮るという目的だけであれば1日いても飽きないだろう。

 その写真だが、先週の渡良瀬をはじめ、動き回る時には近頃無意識に小型軽量のミラーレスを持ち出していたが、今回久しぶりにレフ機を選んだ。レフ機と言っても最軽量のシリーズに、これまた最軽量のレンズを装着したライト級。これなら重量としてはミラーレスと大差がなく、快適に歩けるだろう、という判断だ。
 上流から下流まで、結構な距離を歩きつつ気に入った場所で撮影したが、何だか気分が良い。オリンパスやソニーのミラーレスを持った時と異なるテンションなのだ。それはシャッター音の違いだと気が付いた。最もチープなシリーズであるが一応レフ機、クイックリターンミラーの作動音が心地よい。元々KissX9はシャッター音が気に入って購入したものだ。写りはX7と大差がない。ちなみにこの探査の時期にKissX10が発売になったが(シャッター音はまだ試していない)これも写りは大差がないだろう。
 X10は4K動画注2)が「売り」らしいが、いまや手持ちのコンデジでも4K動画は撮れる。せっかく今の時期に出すなら頑張って8K行って欲しかった。まっ、私の場合購入動機は動画性能ではなく可搬性やシャッター音、つまり使っていて気持ち良いかどうか、というニッチな所なのでそれはマイナスポイントにはならない。(シャッター音次第で衝動買いするかも)

 ちなみにミラーレスのシャッター音も機種によっては心地よいが、どことなく「取って付けた」音で、コンデジ風である。まっ、本当に取って付けた部分もあるのでこれは仕方がない。一方、フルサイズになるとミラーやユニットが大きいためか「ボソッ」とこもった感じがする。実はAPSの小型筐体の音が金属的でシャキッと響き最も心地よいのではないか、と最近になって思うようになった。(匂いや音は写真には一切関係はないが)


【菅生沼下流風景】
Canon EOS KissX9 / EF-S24mm F2.8STM Canon EOS KissX9 / EF-S24mm F2.8STM
Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM

湿地植物
■アゼスゲ

 自分で言うのもナニだが、今回のレンズ選択(24mm、50mm)からして植物を撮影する気があまりない。EFマウントのマクロレンズは50mm(シグマ製)、60mm(EF-S)、100mmと3本も持っているのにすべて留守番だ。出発時に60mmをカメラバッグに入れようか一瞬考えたのだが(悩んだわけではない)そのまま忘れて出発してしまった。
 安い標準レンズでもこれだけ写れば実質的に十分なのだが、最近その手の「こだわり」が希薄になってしまった。これも加齢現象の一つなのだろうか。我ながらちょっと心配だ。

 さて、植物を見始めて真っ先に気が付いたのは水際に並ぶ茶色っぽい穂。先週渡良瀬で見たヌマアゼスゲと同じ光景だ。やっと結実が始まったあたりなので区別は付かないが、茨城県にはヌマアゼスゲの記録がないのでたぶんアゼスゲだろう。あまり環境省や県博の記録を信用してはいけない注3)が、どちらにしてもまだ確認できる時期ではない。


(P)結実直前のアゼスゲ Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM


■水質浄化の行方

 茨城県にはヌマアゼスゲの記録がない、と書いたが、一方渡良瀬遊水地では普遍的なスゲであり、渡良瀬遊水地は一部が茨城県にもかかるのである。その「一部」は大部分がゴルフ場なのであまり希望はないかも知れないが、三国橋注4)のたもと辺りならアクセスも良く容易に調べられるので機会があれば見てみようと思う。
 話は変わるが、これだけ水辺にアゼスゲやアシが密生し、場所によっては野焼きも行われるという「植生浄化」の理想的な姿があるにも関わらずこの水質、限界を超えて水質が悪いのか植生浄化という概念が机上の空論なのか、どちらなのだろうか。現況の水質と植生の量からして浄化に数千年かかる、という程度ならとても「植生浄化」とは言えないはずで、実際にどうなのか非常に興味がある。このことはアサザの植栽が霞ヶ浦の浄化に繋がるか、という議論の回答にもなるはず。自分は心情的にはアサザ基金の味方だが、一方この手の話を判断するには検証されたデジタルな数値が必要であるとも考えているので批判的な立場注5)にも一定の理解があるのだ。環境問題に感情を持ち込んでも話にならない。一応地元のことでもあり、時折モニターしているが(詳しく知りたい方は脚注からのリンク先を参照)本音を言えば「よそでやれ」と言いたい。議論をする時間があったら霞ヶ浦でゴミを拾った方が実質的な効果があることは間違いないのだ。

■絶望的な水質に生きる

 状況的に沈水植物があるとは考えられなかったので水面はろくに見ていなかったが、遊歩道近くに水中から立ち上がった植物が二種類あり、一つはタガラシ(キンポウゲ科キンポウゲ属)であった。タガラシは沈水葉を形成しないので発芽すれば水質の影響は受けないのだろう。大きな葉を水面に浮かべ、中央から花茎が立ち上がった立派な姿で生育していた。健康な植物そのものの姿だ。というか、ありあまる水底の栄養分を遺憾なく吸収した姿に見える。

 タガラシの和名由来は養分収奪力が大きく田を枯らす(稲を枯らす)「田枯らし」説及び、辛子のように辛いという「田辛し」説がある。しかしキンポウゲ属は有毒注6)でもあり、「田枯らし」が正解だと思う。であればその大きな養分収奪力をフルに発揮してもらったらどうだろう。意図的に水中にわんさか植えればヘドロから窒素やリンを吸収して浄化に繋がるはず。区画を設定すれば数値的にも計測できるだろう。元が雑草でそこいら中にあるのでコスパも良いはず。


(P)浅水中から立ち上がるタガラシ Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM


■そして外来種

 もう一種類は(4暫定)オオカワヂシャ。正直この距離から、しかも未開花状態ではカワヂシャと判別困難だが、長年カワヂシャとオオカワヂシャを見てきた自分の眼力を信じることにする。(それが一番信じられないことは自分が良く知っているが)
 こいつも少しは養分吸収を行っているだろうか。周囲に何も植物のない水面でがんばっている姿を見るとつい応援したくなるが、残念ながらこれは特定外来生物なのである。水質浄化に使用するどころか、採集したり移動させたりするだけでお縄になる注7)危険なシロモノだ。
 以前霞ヶ浦の流入河川でホテイアオイを使用した水質浄化を行っている新聞記事を見たが、やはり違和感があった。ホテイアオイの危険性はヴィクトリア湖の事例8)で立証済みだと思うが、霞ヶ浦がヴィクトリア湖の二の舞にならない、と誰が保証できるのだろうか。こういうのを礼賛基調の文章で記事にする見識を疑ってしまう。そこまで飛躍しなくても水域で外来種を目にすると嫌な予感しかしない。もっとも何も植物がない水域を見ても良い予感はしない。


(P)オオカワヂシャ(だと思う) Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM


 その「眼力」だが、そろそろポンコツである。上の写真は50mmで撮影したものをトリミングしているが、橋の上から水面まで3〜4mはあった。この距離から植物を判別するには問題がある。50mmレンズの性能はともかく、自分の目は網膜裂孔でほぼファインダーを見ても役に立たない右目、白内障で自前のレンズ(水晶体)をKOWAの一群一枚F1.0に交換した左目も単焦点状態であり、かろうじて運転ができるレベルだ。これを言い訳にはしたくないが、もしかするとカワヂシャかも知れない。
 ついでながら、歳を取るということはゆっくり衰えを自覚する、ということではなく、あるときこういうシチュエーションに遭遇し、以前は「鷹の目テッサー9)」なみの眼力だったのが、どうやっても見えないという事実に突然気が付いた時に強く感じる。車でいえば年式は古いが普通に問題なく走っていたのに急に故障が頻発したような感じ。体は車と違って乗り換えるわけにもいかない。二週連続でやや長距離を踏破した疲れがそれとなく残っており、どうでも良いことを書いてしまった。

 それにしてもオオカワヂシャはその来歴が謎に包まれた植物である。農作物としても観賞用植物としても実績がなく、簡単に言えば誰も持ち込んだ形跡がないのに全国にこれだけはびこっている。はびこり方は同じだがオオフサモやホテイアオイとは事情がまったく違うのだ。ナガエツルノゲイトウも同じだが(環境省の言う「観賞用として」はデタラメだ)知らないうちに定着し、しかも破壊力抜群というのが最も恐ろしい帰化植物だ。

野焼き跡へ
■似て非なる・・

 最後にメインの目的である野焼き跡へ。メインの目的を最後にしたのは正直なところ見られる植物種にあまり期待していなかったからだ。期待は先週渡良瀬で満足させてもらったし、元々の植生が分かっているだけにさほどのワクワク感もない。突発的にトウサワトラノオ10)やシモツケコウホネが見つかるわけでもない。(見つかったら大事件だ)格好良く言うと予定調和というやつか。

 野焼き跡はすぐに分かった。アシの立ち枯れがなく見通しのよい湿地が野焼き跡である。焼け焦げた地表も確認できたが、地表を見なくてもこの地形で判断ができる。アシの立ち枯れは放置状態でもかなりしぶとく、いつまでも残っている。利根川河川敷の未利用地など何年物か分からない立ち枯れがある。野焼きかアシ刈を行わない限りこの地形を見ることはないのだ。
 伸びかけたアシの間には様々な小型の植物があったが、目ぼしい種類はあまりなく、かろうじてエキサイゼリが見られた程度であった。資料ではトネハナヤスリもあるとの事であったが、見られる範囲では影も形もなし。


(P)菅生沼の野焼き地点 Canon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM


 ここは渡良瀬のように自己責任でどこまでも立入できる湿地と異なり、動植物保護のための立入制限の標記があったので限られた範囲での観察では見ることができなかったのだ。この措置には色々と異論はあるが、原則的には管理者の指示に従うしかないのでやむを得ず。何も目ぼしいものがないから良いだろう、誰もいないから良いだろう、ってものではない。何でもありの垂れ流しがここの腐った水を作り出したことを忘れてはいけないだろう。菅生沼も霞ヶ浦も自然が受け止められる汚染の限界はとっくに超えており、回復までどのぐらいかかるのか、いやそもそも回復するのか誰も分からないのである。1人1人がルールを守れば全員で大きな変える力になる、ということだけは信じたいではないか。

■湿地歩き装備

 フィジカルとしては踏み込む場面を想定してズブズブしても15cm程度であれば耐えられる防水のトレッキングシューズと両手フリーのバックパック装備で固めていたが、残念ながらこれらの性能を発揮する場面はなかった。しかしこの時期の野焼き後の湿地には特にトレッキングシューズは必須で、穂先が槍のようなアシの枯死体を踏んでも踏み抜かない性能を持っている。この点はゴム長でも柔なワーキングブーツでも不安で、怪我をしたくなければぜひ装備したい。自由度という点でも格段に違うはず。
 この日は最高気温19℃で歩き回っても汗をかくような陽気ではなかったが、汗をかいても背中が快適なバックパックを見つけたのでついでにご紹介しておきたい。それはL.L.Beanの「ノースウッズ・ヘリテージ・デイ・パック」というバックパックである。バックパネルにS字のテーパーが付いていてやたら風通しが良いのだ。夏場のバックパックは背中が地獄で、いつも使っているGregoryのデイパックやPatagoniaのトップロードのバックパックは、バックパネルがメッシュ構造になっているとは言え背中に密着し風が通らないことは避けがたく、バックパックを降ろすとシャツの背中がバックパック型に汗で濡れていたりする。その点こいつは背中に風を感じるので快適だな、と思った次第。この日初めて使用したが、バックパックの重量がある、ストームフラップがなかなか所定の位置に定まらない(雨が降らなきゃ問題はない)、ショルダーハーネスの位置調整がすぐずれる、という弱点はありつつも前出アウトドア界の両巨頭に比べれば価格も安く、今シーズンはヘビロテしそうだ。


 野焼き跡はほぼ予想通りの植生であったが、比較的自宅から近距離にありながら長らく真面目に見ることがなかった湿地を見ることができ、ある程度の満足感は得られた。水質や植生はともかくとして、この景観は貴重であると思う。撮影する場所によっては奥日光や上高地のようにも見える。意外な場所に意外な景観を見つけた事が第一の収穫。帰路、別件ながら正月に詣でた際に祈念した願いが早速かない、一言主神社11)に御礼参りができたのが第二の収穫だった。


【野焼き跡で見た植物】
エキサイゼリCanon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM ニョイスミレCanon EOS KissX7 / EF-50mm F1.8STM

脚注

(*1) 平成→令和の移行やら祭日の並びやらで2019年4月末〜5月頭にかけて10連休となった方も多いのではないだろうか。こちとら医療関係なのでそうも行かず、交代で3休、3勤、3休が精一杯。しかし10連休以外の人も意外に多く、5月1日に出勤した際には通勤電車で前に並んだ5〜6名の乗客が全員スーツ系のサラリーマンだった。年号の変更によるシステム不具合などに備えたコンピュータ関係者など仕事をしていた人も多かったはず。

(*2) 4Kだ8Kだと「高画質」的に語られることが多いが、実態は横4,000×縦2,000ピクセル程度のの画面解像度である。デジカメの画素数に換算すればちょうど800万画素程度。つまり4K動画、4K写真は搭載したデジカメのセンサーの性能をフルに発揮していない、はっきり言えば「劣化」画像なのである。しかしそれ以前のデジカメの動画はより「劣化」したものだったので綺麗になったと言えば言えなくもない。

(*3) 公式の植生分布をあまり信用してはいけない、という考えを持つにいたったのは自生記録、分布とも公式にないスズメハコベを地元で発見してから。帰化種のように分布が流動的な植物ではなく、スズメハコベは限られた地域にしか自生しない絶滅危惧種である。このような「漏れ」もあるので、植物に関しては先入観を持たない方が良いし、楽しみや期待感も(たとえ裏切られたとしても)持てるというもの。

(*4) 三国橋の「三国」は旧分国の下総国(茨城県)、下野国(栃木県)、武蔵国(埼玉県)の三国を跨ぐことに由来する。架橋されている道路は国道354号線である。この一帯は県境が確定してから渡良瀬遊水地が完成したので、今では単に茨城県と埼玉県の県境の橋だが、渡って渡良瀬遊水地方面に車を走らせると短距離で埼玉県(加須市)→栃木県(栃木市)→群馬県(邑楽郡板倉町)→栃木県(栃木市)→群馬県(邑楽郡板倉町)にかかり、カーナビが狂ったように「○○県に入りました」と話し出す。こういう場所は日本でも珍しいかも。

(*5) 最も攻撃力、頻度とも高いのは山室真澄先生で、それこそコテンパンに批判を繰り返している。本文に書いたように私も植生浄化という方法論には懐疑的であるが、前向きにどうにかしようとする人々、結果的にマイナス方向に働いたとしても何もしない傍観者より遥かにマシ、という見方も出来ると思う。霞ヶ浦はこれ以上マイナスにならない程の状況であるので尚更だ。主体となっている方(アサザ基金)も「欺瞞」とまで書かれては科学的根拠を基に冷静に議論する姿勢さえ失われてしまうのではいだろうか。自然科学範疇の話が結果的に感情に支配されている図式そのものであると思う。

(*6) キンポウゲ属にはアネモニンという有毒成分が含まれ、「食べると胃腸などの消化器官がただれ」、茎や葉の汁が皮膚につくと「発疹、かぶれを起こす」ほどの症状が出る。毒草の総大将トリカブトもキンポウゲ科の植物であり、キンポウゲ科は観賞以外に何かしようと考えない方が無難だ。タガラシも例外ではなく、いくら昔の人でも「胃腸などの消化器官がただれ」てまで「辛子のようだ」と呑気に言ってはおれなかったはず。それが「田辛子」説反対の根拠である。

(*7) たかが草のことで罰則は重い。許可なく野外に放ったり・植えたり・まいたりした場合は個人の場合「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」、法人の場合は何と「1億円以下の罰金」である。(外来生物法第32条)恐ろしいことに法律には「知らなかった」という概念がない。うっかり植生浄化だとばかりに植栽したりしているとお縄になってしまうのである。厳しすぎる罰則だと思うが、こうせざるを得なかったこれまでの環境破壊の放置こそが問題の本質であるだろう。

(*8) ヴィクトリア湖はケニア、ウガンダ、タンザニアの三カ国にまたがるアフリカ最大の湖で、面積は68,800平方Kmである。ここで外来種であるホテイアオイ(南アメリカ原産)が異常増殖し、漁港を塞いで漁業ができなくなったり、害虫の格好の住処となることでマラリアや脳炎、住血吸虫症などの病気が流行したり、甚大な被害が発生している。また水面を塞ぎ酸素不足を引き起こすことで漁業資源にも影響が出ている。すなわち衛生、産業経済、生態系と広範に悪影響が出ているのである。水質浄化のために霞ヶ浦の流入河川でホテイアオイを用いるのは火薬庫で花火で遊ぶようなもの。これだけは絶対に反対だ。

(*9) テッサー(Tessar)はカール・ツァイス(Carl Zeiss)のレンズ形式で、ツァイスの場合レンズ形式がイコール製品名、さらにレンズ構成を指すのでマウントや開放F値が異なっても概ね写りが想像できる。テッサー登場時にツァイスは「カールツァイスは『あなたのカメラの鷲の目』(Das Adlerauge Ihrer Kamera)というキャッチコピーで宣伝しており、「鷲の目」または「鷹の目」と呼ばれるようになった。ちなみにAdleraugeは「鋭い観察眼」で鷹とも鷲とも言っていないのでたぶん多少の想像力を働かせた翻訳だろう。

(*10) 絶滅危惧TB類(EN)の掛け値なしの希少種。愛知県と栃木県の2か所に残存する。サクラソウ科オカトラノオ属(APGではヤブコウジ科Myrsinaceae オカトラノオ属Lysimachia)。栃木県の自生地の方は機会があれば行ってみようと思いつつ今日に至ってしまった。大きな理由は花期が限られており、ちょうどこの時期に多忙が重なってしまう年が続いたためである。栃木県は隣県とは言え、アクセスがお互いに悪くなかなか腰が重い。(渡良瀬遊水地の藤岡でさえ2時間以上かかる)

(*11) 古事記に登場する一言主神を祀った神社。茨城県常総市にある。元々は葛城山(奈良県)の神様らしいが、いかなる訳かここに神社がある。普段はひと気のない田舎の神社であるが、初詣にはアクセス道路が何Kmも渋滞し、沿道の農家はここぞとばかり畑地に車を止めさせて金を取る「プチバブル」が到来する。人気の理由は「一言願いを口にすればご利益がある」パワースポットだからで、神も仏もない私でも、ここまで家族や自分の願いがかない続けると信じざるを得ない。今年(2019年)もちゃっかり自分の願いがかなっている。


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